1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750495
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80188292)
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Keywords | 半磁性半導体 / 微粒子 / 薄膜 / ファラデー効果 / ベルデ定数 / メスバウアー効果 / スパッタ法 / 光吸収 |
Research Abstract |
今年度は短波長ファラデー効果材料の候補として半磁性半導体微粒子を分散した酸化物薄膜の作製と物性評価を試みた。半磁性半導体は巨大ゼーマン効果に基づく大きな磁気光学効果を示すことが知られており、可視・紫外領域での磁気光学素子として有望である。半磁性半導体を微粒子化して誘電体薄膜に分散した複合体では、量子閉じ込め効果に起因する振動子強度の増大が大きな磁気光学効果を誘起することが期待されるほか、乱れたフォトニック結晶と類似の光の局在化による磁気光学効果の増大が示唆されている。本研究では半磁性半導体として(Cd,Mn)Te、(Cd,Mn)Se、EuSを取り上げたが、ここではEuSに関して得られた成果を報告する。EuSは16.6K以下では強磁性体であり、3価の希土類イオンの固溶により磁気ポーラロンの濃度が増加してキュリー温度が急激に上昇する。またSrSの固溶がスピングラス相を導くなど、多様な磁性を示すことから興味深い対象である。具体的な実験方法として、SiO_2ガラスまたはAl_2O_3、TiO_2焼結体にEuSのペレットを乗せてターゲットとし、RFスパッタリング装置を用いて試料を成膜した。得られた試料のX線回折、光吸収、ファラデー効果の測定を行った。X線回折の結果より、作製条件に依存して多少の相違はあるものの、SiO_2をマトリックスとした場合にはEuSが結晶化せず、A1_2O_3とTiO_2をマトリックスとした場合にはEuSが単相で析出することがわかった。得られた薄膜試料のうち、特にTiO_2をマトリックスとする膜は大きなファラデー効果を示し、波長が600ならびに700nm付近でのベルデ定数は0.1deg/cm・Oe(1Oe=10^3/4πA/m)程度となった。この値は希土類含有ガラスと比べて一桁大きい。結論として可視領域では十分に大きなファラデー効果を示す薄膜材料の作製に成功したと言える。
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