1999 Fiscal Year Annual Research Report
銀ナノ微粒子分散膜を用いるSERS分光法による薬物及び環境汚染物質の高感度検出
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10750582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 友子 (玉井 友子) 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30282106)
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Keywords | 銀微粒子 / アルミナ / ラマン散乱 |
Research Abstract |
これまでに対向拡散法という独自の手法により銀ナノ微粒子分散セルロースゲル膜を作成し、表面増強ラマン散乱(SERS:Surface-Enhanced Raman Scattering)の検出基板として有用であることを示してきた。しかし条件によってはスペクトルに基板のアセチル基や検出物質の分解に基づくと思われるバンドが1300cm^<-1>付近に見られるので、この範囲にキーバンドを持つ物質の検出に対しては注意が必要であった。そこで、より耐光性の基板として銀微粒子分散アルミナゲル膜について検討した.AlCl_3水溶液にアンモニアを滴下し、生じた白色沈殿を濾過、洗浄後、酢酸を加えて加熱還流することで解膠し、透明アルミナゾルを得た。これにAgNO_3水溶液を加えゲル化させ空気中600℃で2時間焼結した後、NaBH_4に浸して還元又は水素還元することにより銀微粒子分散アルミナ膜を作成した。この試料についてAr^+イオンレーザー(514.5nm)を励起源に用いたラマンスペクトル測定を行った。銀微粒子分散アルミナ膜の吸収スペクトルは銀コロイドに比べて銀微粒子の凝集分散をあらわすプラズモン吸収の広がりを示した。また、銀の分散量、還元方法によって吸収の位置や広がりが異なっており、使用光源波長に合った分散膜を調整できる利点がある。アルミナが両性て等電点が中性付近にあることから荷電物質の検出には有用と思われる。亜硫酸イオンのSERSスペクトルはAg-S伸縮振動のピークが見られ、S-O変角振動とS-O伸縮振動に帰属されるピークは低濃度まで観測された。また、塩酸を加えた0.1mo1/Lのフェネチルアミン水溶液中におけるSERSスペクトルでもベンゼンの環呼吸振動と環伸縮振動に帰属されるピークが見られた。これらより銀微粒子分散アルミナ膜のSERS検出基板としての応用が期待される。
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Research Products
(1 results)