1999 Fiscal Year Annual Research Report
融体モデルに基づいたLi_2O・2SiO_2融液に含有する微結晶核量の定量的評価
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10750607
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
三嶋 尚史 高知工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (40300644)
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Keywords | 融体モデル / Li_2O・2SiO_2 / 結晶化 / 核生成 |
Research Abstract |
「融液中には平衡状態でも微小な結晶核が存在し、その微結晶核量(数および粒径)は融点あるいは液相温度に近い低温では増大し、温度の上昇とともに減少する」という融体モデルに関する仮説を実証するための研究を推進した。Li_2O・2SiO_2組成については、ガラスの溶融熱履歴の影響を受けてその結晶化挙動が異なることが既報によってわかっているが、その他の組成についても融体モデルで予想される結晶化挙動を示した。熱処理時間(500℃,20〜60分間)を変化させても結晶粒子数や粒径の溶融温度に対する挙動は同様であり、低温溶融と高温溶融ガラスの結晶粒子数の差が一定値を示した。Li_2O・2SiO_2の500℃における核生成速度を求めたところ、溶融温度に依存することなく9.0〜9.8(nuclei/mm_3・min)の範囲であった。この結果より、融液中に潜在的な微結晶核の数は熱処理の影響を受けないと推察される。つまり、500℃,20分間以内の熱処理で種々の溶融熱履歴をもつガラスの構造の違いが発現され、これ以降の熱処理では定常状態の核生成が生じていると考えられる。、そこで、2段階熱処理(500→600℃)で融液中の微結晶核数Noを実験的に求めた。Li_2O・2SiO_2組成(融点:1033℃)について1035,1100,1300℃溶融ガラスの微結晶核の数はそれぞれNo【approximately equal】150,10,0(nuclei/mm_3)が得られた。Noを算出する過程において得られた核生成速度は500℃での熱処理時間が長いほど大きくなり、結晶成長のための熱処理を除いた500℃の核生成速度は6.4〜7.6(nuclei/mm_3・min)であった。以上の研究成果は日本セラミックス協会2000年年会(東北大学)で発表を行った。また、高温で溶融したガラス融液を急冷して作製したガラスの結晶化挙動を調べるための実験についても行ったが、測定のための最適条件を得ることが困難であり、研究成果を報告するまでには至らなかった。これについては今後さらに条件を変えて続けていく予定である。
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Research Products
(1 results)