1998 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性ブロックを有する高分子キレート前駆体を用いた酸化物超伝導体の合成
Project/Area Number |
10750634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中 建介 京都大学, 工学研究科, 助手 (70227718)
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Keywords | 高分子前駆体 / 酸化物超伝導体 / 配位高分子 / ブロック共重合体 / 高分子ミセル / 両親媒性高分子 / ミセル重合 |
Research Abstract |
本研究は有機溶媒中で逆ミセル構造を形成する高分子前駆体として水溶性の配位性ポリマーと疎水性ポリマーとの再親媒性ブロック共重合体の設計と合成を試み、各種金属と錯形成した後、有機溶媒中で逆ミセル構造を形成することにより溶解性と会合による溶液粘度向上が同時に達成できる、高分子化学の手法を取り入れた新規な概念の前駆体の合成とそれを用いたエレクトロセラミックス調製プロセスの開発を目的として、平成10年度は配位性ポリマーの両親媒性ブロック共重合体としてポリアクリル酸とポリスチレンとのブロック共重合体を用いた前駆体調製の検討を行った。以下にその成果を示す。 1. 高分子前駆体として用いるポリマーは低コストで大量合成が必要であるため水中で疎水性モノマーと親水性モノマーとのブロック共重合体が合成できるミセル重合法をポリアクリル酸とポリスチレンとのブロック共重合体合成に適用できるかを種々検討した。その結果、親水性または疎水性ラジカル開始剤いずれを用いてもポリアクリル酸とポリスチレンとの共重合体が収率良く得られることがわかった。得られたポリマーは、既存の赤外分光光時計、核磁気共鳴装置、ゲルろ過クロマトグラフにより、その構造や分子量などの特性解析を行った。 2. 得られた共重合体を高分子配位子として用い、イットリウム系酸化物超伝導を構成する金属イオンを配位させ、酸化物超伝導体作成のための前駆体を調製を行った。得られた高分子金属前駆体はTHF、DMSOおよびDMFなどに可溶であることがわかった。 今後は、既存の熱重量分析装置によりその熱分解過程の検討を行い、焼成を行うことにより酸化物合成条件の検討を行うとともに、得られた高分子金属前駆体の各種有機溶媒中での集合体形成能の検討を光散乱や電子顕微鏡観察を行い、酸化物超伝導体薄膜の前駆体溶液として最適な高分子の構造を探索する。
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