1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10760110
|
Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
荒井 一成 市立名寄短期大学, 講師 (90232008)
|
Keywords | 部分着色 / 題材開発 / 着色木材 / 装飾効果 / 生物材料 |
Research Abstract |
木材加工での鮮やかな色彩の装飾効果を踏まえた題材開発は,木材特有の文様を新しい角度から捉えることを意味し,また視覚的な刺激により,今までにない作品づくりが期待できる。また,木材が生物材料である証拠を,時間の推移とともに浸透着色されゆく木目によって,視覚的に確かめられることにもなりうる。そこで鮮やかな色彩の装飾効果を踏まえた学校題材および療育題材として導入される可能性について,準備や方法を簡易化することにより,開発と実践を試みた。 小学生向けに実践した題材は,短冊状の着色木材を自由に組み合わせて翼を創る『バランスインコ』および,着色木材で角を創る『走る龍』を開発した。製作過程では工夫次第で発展できる可能性を含めた。実践は,名寄市の児童館で,それぞれ30名ずつ,着色から製作まで試みた。また,知的障害者更生施設において,着色過程および着色材を使った作品を利用者に見てもらい,その感想と意見の聴き取りを行なった。 樹木の成長過程の説明と共に行なった着色実験で子どもたちは,瞬く間に色が変わる様子に驚いていた。小学生に木材が生物材料であることを,少なからず認識させられたように思われた。 また『バランスインコ』において,翼の重ね方と本体への取り付けに子どもたちそれぞれが工夫をして,色鮮やかで愛着のある小鳥ができた。また翼の付け方で揺れ方に違いも生まれ,より興味深いものとなった。 知的障害者への療育題材の開発には,既存の題材への付加価値として着色木材の利用を検討した。しかし実際は利用者の興味や技術を確認しながら,少しでも向上させようとする内容が必要であることから,現場に入って少なくとも2〜3年かけて開発されるべきであろう。ただし,数時間の中で,染め分け着色材の色の鮮やかさに関心を持った利用者もおり,より効果的な活用と既存で取り組んでいる題材の改良によって,題材を示せる可能性もある。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 荒井一成、矢田茂樹: "ブナ材の部分着色におけるチロース生成を原因とする着色むらの抑制"材料. Vol.48,No.3. 218-222 (1999)
-
[Publications] 荒井一成、矢田茂樹: "塩基性染料の吸着性を利用したラジアータパインの染め分け"木材学会誌. Vol.45,No.3. 215-221 (1999)