1999 Fiscal Year Annual Research Report
筋出力の変化からみた左右への打球動作に対する打ち分け指示時刻の影響
Project/Area Number |
10770026
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
藤原 素子 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30220198)
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Keywords | 打球動作 / 筋電図 / 打ち分け指示時刻 |
Research Abstract |
テニスに代表されるネットスポーツでは、相手の動きの認知時刻が打球動作のパフォーマンスに影響を与えることが多い。本研究では、左右への打球打ち分け動作に打ち分け指示時刻の違いが与える影響について、主に筋出力を指標として調べることを目的とした。 今年度は、前年度と同じ装置を用い、女子大学生10名(テニス経験者を含む、全員右利き)を被験者として、ボールガイド上を転がってくる硬式テニスボールを、実験台上で特別に作製した小型ラケットで打球し、左右前方に設置した的に入れる課題を行なわせた。打球方向はボールガイドの左右に設けた刺激LEDを、ボールスタートから1000ms,1250ms,1500msの3種類のいずれかのタイミングで点灯させることにより指示した。右上肢から、三角筋前部、三角筋後部、橈側手根屈筋、尺側手根伸筋の計4カ所について、表面筋電図をテレメーターシステム(日本光電WEB-5000)を介して導出し、生体現象取り込み装置(BIOPAC社MP100)によりコンピュータ(Macintosh)に取り込んだ。 結果として、指示時刻が最も遅い場合に他の条件に比べて、橈側手根屈筋の活動に次のような顕著な違いがみられた。1)右方向へ打つ場合、尺側手根伸筋と同時に放電を開始した。2)左方向へ打つ場合、動き始めてからインパクトまでのスイング期に大きな放電がみられた。これらの結果より、相手の動きの認知が遅い場合の打球動作の特徴として、右方向へ打球するときには、前腕の屈筋を伸筋と同時に活動させ、共収縮による手関節の固定を行なうことが、また左方向へ打球するときには、より素早い手関節の屈曲によるスナップ動作を行なうことが示唆された。
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