1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770030
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川本 郁朗 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00295510)
|
Keywords | 視交差上核 / 回旋培養法 / パッチクランプ / IPSC |
Research Abstract |
視交差上核ニューロンにおけるmIPSCの時刻依存性の検討は、視交差上核スライス回旋培養標本のニューロンにパッチクランプ法を適用することに行った。mIPSCに時刻依存性が存在するとは、結論できない結果となった。同一ニューロンにおいてmIPSCの24時間以上の測定が、侵襲的なパッチクランプ法の技術限界で不可能であるため、複数のニューロンを標本としたことが、主因であると思われる。このため、mIPSCの時刻依存性が、ニューロン同士の電気的性質のばらつきや同一スライスのニューロン間の時刻位相のばらつきの中に包含された可能性がある。この仮説の検証には、同一スライス上のニューロンのシナプス現象を非侵襲的に長時間に渡って測定する技術の開発を要すると思われる。 視交差上核ニューロンの電気的性質を性格付けしていく過程で、研究に別方向への発展がみられた。視交差上核スライス培養法本においてもニューロン間に存在するギャップ結合が保存されていることを明らかになった。すなわち、パッチ電極にギャップ結合を通過可能である蛍光色素を加え、視交差上核スライス回旋培養標本の神経細胞に対してホールセルパッチクランプ法を施行したところ、隣接する細胞に色素が拡散していることを蛍光顕微鏡下に確認している。さらに色素が拡散した細胞にパッチクランプ法を施行すると、興奮性膜を有するニューロンであることが明らかになった。従来は、ギャップ結合が存在する二つのニューロンにダブルホールセルパッチクランプ法を適用することが極めて困難であったが、スライスが単層化する回旋培養標本とダブルホールセルパッチクランプ法の組み合わせによって、ギャップ結合の電気的及び化学的細胞間情報伝達の性格を明らかにしうることが可能になった。この研究の進展によって、ギャップ結合を介するニューロン間伝達機構の役割・性格を解明しうると思われる。
|