1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770030
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川本 郁朗 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00295510)
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Keywords | 視交差上核 / GABA / mIPSC / 前シナプス / ニコチン |
Research Abstract |
視交差上核領域に豊富に存在するGABA作動性後シナプス電流に対して、その性質(振幅・頻度)を修飾する制御因子の検索を行った。これらのうち、特に、ニコチン性アセチルコリン受容体のGABA作動性後シナプス電流に対する効果を、パッチクランプ法を用いて検討した。その成果の一部を、第28回北米神経科学学会(セッション:327.4)にて発表したので、その内容を以下に報告する。 視交差上核は、哺乳動物のサーカディアンリズムの形成に必要不可欠な役割を果たしていると同時にアセチルコリン作動性の神経入力を受けている。この研究では、視交差上核におけるGABA伝達に対するアセチルコリン作動性入力の役割について検討した。ホールセルパッチクランプ法を適用し保持電位-60mVで、自発性後シナプス電流が観測された。あるニューロンにおける後シナプス電流は、平均頻度が1.38Hzで平均振幅が25pAであり、反転電位は約0mVであり、塩素イオンの平衡電位に一致した。さらにこの後シナプス電流は、ビククリン(10μM)により可逆性に抑制されることから、GABA電流であることが示された。ニコチン(100μM)存在下で後シナプス電流の平均頻度は、384%(5.3Hz)増強されたが、平均振幅には影響がなかった。ニコチンは、微小性後シナプス電流についても同様に作用した。これらのことから、視交差上核培養脳切片においては、ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化により活動電位非依存性に前シナプスからのGABA放出が増強されることが示された。
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