1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるCD9の発現とその機能に関する研究
Project/Area Number |
10770104
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
服巻 誠 久留米大学, 医学部, 助手 (40268842)
|
Keywords | 肝細胞癌 / 細胞株 / CD9 / 文化度 / ヌードマウス |
Research Abstract |
(1) ヒト肝細胞癌組織におけるCD9の発現 外科的に切除された25例の肝細胞癌(中分化型肝細胞癌14例、高分化型肝細胞癌11例)の癌組織、非癌肝組織より凍結標本を作製し、抗CD9マウスモノクローナル抗体007を用いて免疫組織化学的にヒト肝細胞癌組織における癌化および脱分化に伴うCD9の発現の変化を検討した。全ての症例において、非癌肝組織の類洞内あるいは癌部の血洞内の紡錐形細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、胆管上皮細胞にCD9の発現を認め、また、全例の非癌肝組織の肝細胞表面に陽性像を認めた。癌組織中の肝癌細胞については高分化型肝細胞癌の11例中8例に、中分化型肝細胞癌の14例中2例においていずれも細胞表面に弱い陽性所見を認め、組織学的分化度が低下するにつれてCD9の発現は減弱または消失する傾向にあった。 (2) ヒト肝細胞癌細胞株におけるCD9の発現と分化度およびヌードマウス可移植性の検討Flow cytometryを用いてヒト肝細胞癌株11種の細胞表面に発現するCD9の検討を行った結果、4種類の細胞には全く発現は認めなかったが、7種類の細胞株において種々の程度に発現が見られた。これらのうちの2株は同一肝癌結節内の分化度の異なる部より樹立した細胞株であり、高分化型のHAK-1A細胞にはCD9の発現が強く見られヌードマウス不可移植性であるが、中分化型のHAK-IB細胞にはCD9の発現は見られず、ヌードマウス可移植性である。このことから免疫組織化学の結果と併せると肝細胞癌の分化度およびヌードマウス可移植生とCD9発現の間には相関があることが示唆される。現在HAK-1B細胞にCD9DNAをトランスフェクションし、数種類のクローンを得ることに成功している。今後はこれらの細胞を用いCD9の発現の変化に伴うヌードマウス可移植性の変化を検討するとともにCD9の機能を明らかにしてゆきたい。
|