1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入系を用いたボツリヌス菌の神経毒素産生調節機構の解析
Project/Area Number |
10770122
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
久保田 耐 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10274929)
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Keywords | Clostridium botulinum / neurotoxin |
Research Abstract |
ボツリヌス菌の神経毒素産生量は、菌増殖時の栄養状態、pH、温度など様々な環境要因によって左右されると考えられている。本研究ではボツリヌス菌の神経毒素産生機序を明らかにし、毒素産生と環境要因との関連について明らかにすることを最終目的としている。平成10年度の科学研究費により、まずボツリヌスE型菌の神経毒素産生に関係する遺伝子領域を特定するために、神経毒素遺伝子下流域の塩基配列を決定し、A型菌の対応する領域との比較を行った。この結果、A型菌株の神経毒素遺伝子のすぐ下流にはリゾチウム遺伝子(LycA)が存在していることがすでに報告されているが、ボツリヌスE型菌ではこれと異なったオープンリーディングフレームが存在していることが明らかになった。この遺伝子のコードするタンパク質は、ATP結合ドメインをもち、p47、orf-x_1、orf-x_2などと同様に神経毒素遺伝子と隣り合って存在していることから神経毒素産主の制御に直接関わる可能性が考えられた。そこで現在、E型菌株でこれらの遺伝子の発現と、神経毒素遺伝子やサブコンポーネント遺伝子の発現との間に関連性があるのかどうか調べるとともに、E型毒素産生ブチリカム菌や、A〜C型菌株に、同様にこの遺伝子が存在しているのかどうかについても解析を進めている。またこれと並行して、今回見つかった遺伝子や、p47、orf-x_1、orf-x_2などの遺伝子産物の機能を明らかにするために、まずE型毒素遺伝子クラスター中のp47遺伝子を抗生物質耐性遺伝子に置き換えたプラスミッドを作製し、エレクトロポレーション法によりボツリヌス菌に導入してp47遺伝子欠損株の選別を行っている。
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