1998 Fiscal Year Annual Research Report
マーカー遺伝子導入微小肝癌モデルを用いた肝癌免疫予防の試み
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10770225
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
安村 敏 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (90283085)
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Keywords | 肝細胞癌 / TNF誘導体 |
Research Abstract |
本年度はTNF-αの副作用を軽減する目的で、アミノ酸配列の3カ所を変えたTNF-α誘導(F4614)の肝癌治療における有用性を検証する目的で、マウス肝癌細胞株を用いF4614の抗腫瘍効果ついて検討した. 1. In vitroでの増殖抑制効果:MH134細胞はTNF-α添加により有意に強い増殖抑制効果が認められた。細胞周期の解析ではMH134細胞でF4614、TNF-αの添加によりともにG2/M期の細胞の減少が認められた。また、二倍体よりDNA含量の少ない細胞の増加が認められ、一部の細胞はアポトーシスをおこしていることが示唆された。このことを確認するために、F4614、TNF-αを添加後のDNA断片化の有無を検討した。その結果、F4614、TNF-αの添加後12時間からDNA断片化が確認され、細胞障害のメカニズムとしてアポトーシスの関与が証明された。 2. 細胞表面抗原に及ぼす影響:F4614またはTNF-αの添加により、表面抗原(H-2D^k、ICAM-1、B7-1)の発現の増強を認めた。 3. In vivoでの抗腫瘍効果:F4614、TNF-αの腫瘍内投与では治療中も、治療中止後もともに強い腫瘍の発育抑制効果を認めた。また、F4614投与群とTNF投与群のそれぞれ5匹中1匹において腫瘍の完全退縮がみられた。 4. 抗腫瘍効果の組織学的検討:F4614投与1日後、腫瘍血管内の血栓形成と著明な出血壊死を認めた。投与6日後の組織像では、腫瘍周囲に線維化と著明な単核細胞浸潤を認めた。免疫組織染色の結果ほとんどの浸潤細胞はCD11b(Mac-1α-chain)陽性であり、それらに混在して少数のCD4、CD8陽性細胞を認めた。 今回の成績から、F4614の腫瘍内投与により優れた抗腫瘍効果を発揮することが示唆された。このことから、F4614の腫瘍内投与がヒト肝癌治療の新しい手段として有望と考えられた。
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Research Products
(1 results)