1998 Fiscal Year Annual Research Report
腸上皮細胞における圧力負荷時の細胞内シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
10770244
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岸川 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276234)
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Keywords | 小腸粘膜細胞 / 物理的圧力負荷 / 細胞内シグナル伝達機構 / MAPキナーゼ / 早期発現遺伝子 |
Research Abstract |
申請者らは、これまでに小腸粘膜細胞上皮(IEC-18)の増殖因子として物理的圧力負荷に注目し、生理的にも生じうる80mmHgをピークとして細胞増殖能が促進されること、及びこの細胞増殖がフォスフォリパーゼC、プロテインキナーゼCを介して行われていることを明らかにしてきた。今回、in vitroの培養細胞を用いてどのような細胞内シグナル伝達機構がこれらの生理反応に関与しているか検討した。以下に現在までの結果を示す。 (1) MAPキナーゼの活性を免疫沈降法およびWestern blottingにて検討した結果、圧力負荷後3時間後よりMAPキナーゼ活性が増強し、6時間後まで持続した。 (2) RT-PCR法により早期発現遺伝子(c-fos、c-myc)の誘導を検討した結果、圧力負荷3時間後から活性の増強が認められ、12時間後まで持続した。 (3) 核内因子のNuclear factor kappa Bおよびactivator protein 1のDNAbindfing activityをin situ DNA protein binding assayにて検討した結果、3時間後より活性の上昇が認められ、6時間後まで持続した。 (4) 圧力負荷に伴う形態の変化を、actin stress fiberを染色するphalloidineを用いて検討した結果、圧力負荷後も特記すべき変化を認めなかった。 今回の検討により圧力負荷に伴う小腸粘膜細胞上皮の細胞増殖においてもMAP kinaseを介して早期発現遺伝子が活性化し、さらにNFKB、AP-1などの転写因子の活性を促進して細胞増殖を亢進させるというシグナル伝達経路の存在が示唆された。
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