1999 Fiscal Year Annual Research Report
HBs抗原/抗体両陽性のHBVキャリアにおけるリンパ球感染HBVの遺伝子解析
Project/Area Number |
10770253
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
唐沢 達信 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30277024)
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Keywords | HBs抗原 / pre-S1 / S2 / S遺伝子 / 持続感染 / リンパ球感染 |
Research Abstract |
HBs抗原/抗体両陽性の成人HBVキャリアにおいて,HBs抗原をコードするS遺伝子やpre-S1/S2領域に変異を持つHBVのリンパ球感染が,ウイルスの持続感染源に関与しているかを明らかにする目的で,そのようなHBVキャリア3例においてリンパ球と血清から抽出したゲノムのシークエンス解析を行った. 1.リンパ球と血清から抽出したウイルスゲノムのpre-S1/S2領域では,3例とも欠失を認めた.その範囲は,pre-S1/S2領域では,preS1 57-117/pre-S2 1-5deletion,pre-S1 56-119/pre-S21-5,preS1 57-117であった.S領域では,126番目のアミノ酸Ile/ThrからSerへの変異を2例を認めた.これらの変異がHBs抗体存在下で持続感染に関与している可能性が考えられた. 2.リンパ球と血清から抽出したウイルスゲノムのシークエンスは,3例ともpre-S1/S2領域,S領域で殆ど一致したことから,リンパ球感染が,血清からの吸着である可能性が示唆された.また,HBVのリンパ球感染が持続感染のための再感染源にもなりうることが考えられた.
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