1999 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺損傷におけるサイトカイン,接着分子発現に対する細胞内レドックス環境の役割
Project/Area Number |
10770272
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
坂東 政司 自治医科大学, 医学部, 講師 (30296115)
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Keywords | 急性肺損傷 / 一酸化窒素(NO) / Nitrite / Nitrate / 気管支肺胞洗浄液(BALF) / 特発性間質性肺炎 |
Research Abstract |
急性呼吸促迫症候群(ARDS)や特発性間質性肺炎(IIP)の急性憎悪をはじめとする急性肺損傷では、生体内において炎症や免疫防御反応に作用し、フリーラジカルである一酸化窒素(NO)がその病態に関与している可能性が示唆される。今回の研究では、IIPを含む種々の炎症性肺疾患における気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いNOの安定代謝産物であるNitrite/Nitrate濃度を測定した。 対象はIIP8例、BOOP6例、過敏性肺炎(HP)11例、サルコイドーシス(サ症)21例、健常人4例の計50例であり、測定は、0.1ピコモルレベルのNitrite/Nitrateが測定可能な吸光法を用いたENO-200により行った。 BALF中の総Nitrite/Nitrate値はIIP群(220±48.8pmol/10μLBALF)で健常群(98.9±24.1pmol/10μLBALF)、サ症群(103±14.1pmol/10μLBALF)と比べ有意に高値を示した。またNitrite値はHP群、BOOP群で対照群、サ症群と比べ有意に高値を示した。以上より過剰に産生されたNOがスーパーオキサイドなどの活性酸素種と反応し、組織損傷を引き起こすとともに、最終安定代謝産物であるNitrite/Nitrate濃度が増加するものと思われ、BALF中のNitrite/Nitrate値の測定はIIPなどの炎症性肺炎疾患における局所炎症の程度や疾患活動性を反映する可能性が示唆された。一方、これまでにNOは転写因子NF-κBの抑制を介し、炎症性サイトカインであるTNFαやIL-1β、接着分子などの発現を制御していることが報告されており、炎症の抑制にも関与する可能性が示唆されている。今後はNOのもつ二面性の作用(組織損傷作用と抗炎症作用)についてin vivo、in vitroでの検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 坂東政司: "AL1,ARDSの病態生理 接着分子"救急医学. 23・8. 887-891 (1999)
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[Publications] Masasi Bando: "Nitrite/Nitrate Levels in bronchoalveolar lavage fluid from patients with interstitial lungdiseases"Am J Respir Crit Care Med. 158. 67 (1999)