1998 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-A24陽性肺癌ペプチドワクチンの開発:ペプチドによる末梢リンパ球からのCTLの誘導
Project/Area Number |
10770280
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
増岡 和宏 久留米大学, 医学部, 助手 (60299493)
|
Keywords | 腫瘍拒絶抗原 / 抗原ペプチド / MHC拘束性 / CTL誘導 / 抗原提示細胞 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
1) HLA-A2402遺伝子を、RT一PCRで増幅した後、TAクローニング法にて発現ベクターに組み込み、遺伝子配列を確認した。さらに、細胞にトランスフェクトして、特異抗体を用いたフローサイトメトリー法で蛋白レベルでの発現を確認した。 2) HLA-A2402拘束性抗原ペプチド"EYRGFTQDF"は、菊地等の報告(Kikuchiet al.,Int.J.Can.,in press)に基づいて合成した。 3) HLA-A24陽性肺癌患者末梢血より単核球を分離し、IL-4およびGM-CSF処理で樹状細胞を誘導した。この細胞を合成ペプチドで感作し抗原提示細胞とした。この細胞で末梢血単核球を一週間おきに三回刺激し、増殖した細胞の特異性をIFNγ産生を指標に測定した。標的細胞としては、HLA-A24陰性の細胞株を対照として、HLA-A24陽性細胞株(KE4)、およびHLA-A2402をトランスフェクトしたVA13細胞株に抗原ペプチドを感作した細胞を用いた。 HLA-A24の肺癌患者を含む癌患者4例、および健常人8例の末梢血単核球を用いて、上記の方法で誘導したCTLの特異性を調べたところ、全ての末梢血からHLA-A24拘束性にKE4を認識するCTLが誘導された。健常人末梢血単核球からもin vitroでSARTl特異的CTLが高頻度に誘導された理由として、(i)本ペブチドは癌細胞に検出されるSART1_<259>だけでなく、増殖性の正常細胞にも発現するSART1_<800>にも存在し、これが何らかの機序でT細胞に提示される、(ii)酵母の膜蛋白にHLA-A24に結合するモチーフを持ち、抗原ペブチドと高いホモロジーを有するペプチドが存在し、これを認識するCTLが癌細胞のSARTlペプチド抗原を認識する可能性などが考えられた。今後、これらの機序をより詳細に検討する予定である。
|