1998 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体チャネルを介するCa^<2+>流入と海馬シチプス伝達
Project/Area Number |
10770283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 智之 東京大学, 医学部・付属病院, 教務職員 (00301101)
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Keywords | 海馬 / ラット / 長期増強 / 長期抑圧 / Ca^<2+> / NMDA受容体 |
Research Abstract |
ラット海馬切片標本を用い、Schaffer側副路/交連線維がCA1錐体細胞上に作るシナプスの可塑性誘発における条件刺激の時間因子の役割について詳細に検討した。Mg^<2+>を含まない人工脳脊髄液(Mg^<2+>-free溶液)灌流中の単一回の入力線維刺激によっても確かにCa^<2+>流入が起きることをホールセル記録により確認した。フィールド記録で、Mg^<2+>-free溶液灌流中、単一回および1Hz2回から600回の入力線維刺激で長期増強(LTP)が誘発されるのが観察された。1回の刺激あたりのCa^<2+>流入量を減らすためAMPA受容体阻害剤の6-cyano-7-nitroquinoxaline-2,3-dione(CNQX)10μMをMg^<2+>-free溶液に加え、シナプス後細胞の脱分極を抑制し電位依存性Ca^<2+>チャネルからのCa^<2+>流入を減少させたところ同じく1Hzの刺激ではLTPが誘発されにくくなるものの、長期抑圧(LTD)は1から600回の刺激で観察されなかった。さらにこの溶液に2-amino-5-phosphonoate(D-AP5)2μMを加え、NMDA受容体を部分ブロックし同受容体を介するCa^<2+>流入を減少させろと、1Hz1回から120回の刺激では有意な変化はなく、200回以上ではじめてLTDが誘発された。D-AP5を50μMに増量すると、このLTDは完全に消失した。以上より、LTPは条件刺激の持続時間に依存することなく高度なCa^<2+>流入があればよいが、LTDの誘発には条件刺激がある程度以上持続することが必須であることが示唆される。
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Research Products
(1 results)