1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血再灌流時の活性酸素産生とラジカルスカベンジャーの効果
Project/Area Number |
10770291
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 啓二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20265820)
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Keywords | NS-7 / hypoxia / スーパーオキサイド |
Research Abstract |
脳低酸素再酸素化時のスーパーオキシド生成に対するNS-7の効果 (目的)光電子倍増管を装着した生体顕微鏡システムによりネコ大脳皮質in vivoにおける脳低酸素再酸素化時のスーパーオキシド生成課程を経時的に検討した後、新しいカルシウム拮抗薬であるNS-7のスーパーオキシド産生に及ぼす影響を検討した。(対象)成猫20匹。 (方法)α-chloraloseとurethaneの腹腔内投与で全身麻酔した後、人工呼吸器を装着して呼吸管理を行う。中大脳動脈領域の頭頂頭蓋に頭窓を装着し、人工髄液にて溶解させたMCLA(100μM)を持続灌流(5ml/h)する。MCLAはスーパーオキシドと反応すると4650mの微弱な化学発光を生じる。これとは別にゼノンランプ光源を用いて395nmの微弱光を脳表に照射し反射散乱光を得る。各々の光はビームスプリッターにより分離して高感度光電子倍増管で測定し、コンピュータに内蔵した解析ソフトを用いて経時的に解析する。舌動脈からの生理的食塩水注入による血液希釈曲線作成により、hemodynamic artifactを補正する。 (実験)(1)MCLA脳表灌流(1h)で定常状態とする。この後1分間の100%窒素吸入で低酸素状態としたのち、room airで再酸素化し、この間のスーパーオキシドラジカル生成を測定する。(2)同様にMCLA脳表灌流(1h)で定常状態とした後、NS-71A(10mg)を生食10ccに溶解し、これを20分間で1.0mg/kgだけ静注し、スーパーオキシドラジカル生成を測定する。(3)1時間後に1分間の100%窒素吸入で低酸素状態としたのち、room airで再酸素化し、スーパーオキシドラジカルの生成を測定する。 (結果)(1)低酸素負荷1分後で前値と比較し有意なスーパーオキシドラジカルレベルの減少を認め(-19.3±5.1,p<0.01)、また再酸素化後30分の時点で有意な増加を認めた(7.5±3.3,p<0.05)。(2)NS-7投与前と投与30分後でスーパーオキシドラジカルレベルに有意な変化を認めなかった. (3)NS-7投与後,低酸素負荷中前値と比較し有意なスーパーオキシドラジカルレベルの減少を認め(-19.3±5.1,p<0.01)、また再酸素化後、30分の時点で有意な増加を認めた(7.5±3.3,p<0.05)。 (まとめ)NS-7は定常状態のスーパーオキシドラジカルレベルに変化を及ぼさない.NS-7は低酸素再酸素化時に変化するスーパーオキシドラジカルレベルに対して有意な変化を及ぼさない.
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