1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血再灌流時の活性酸素産生とラジカルスカベンジャーの効果
Project/Area Number |
10770291
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 啓二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20265820)
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Keywords | H_2O_2 / C-DCF / hypoxia |
Research Abstract |
活性酸素は脳虚血・低酸素後の組織障害の進展に重要な役割を果たすとされているが、一連の活性酸素生成過程で産生されるH_2O_2の変化を観察することは、活性酸素の生成過程を評価する上で重要と考えられる。一方、脂溶性非蛍光物質である5-(and-6)-carboxy-2'-7'-dichlorofluorescein diacetate di(acetoxymethyl ester)(C-DCFH-DA)は細胞内に拡散した後、エステラーゼによって細胞膜非透過性の非蛍光物質であるC-DCFHとなり細胞内に蓄積する。C-DCFHはH_2O_2と反応すると蛍光物質である5-(and-6)-carboxy-2'-7'-dichlorofluorescein (C-DCF)に変換される。そこで低酸素/再酸素化時の猫大脳皮質における細胞内H_2O_2の変化を、励起光(510nm)の照射によるC-DCF fluorescence(534nm)の測定によって評価した。(方法)成猫を対象とし、α-chloraloseとurethaneの腹腔内投与により麻酔した。気管切開の後、人工呼吸器を装着して呼吸管理を行った。側頭頭頂頭蓋に石英ガラス頭窓を作成し、250μMのC-DCFH-DAを含む人工髄液を一時間灌流した。定常状態となった後励起光を脳表に照射し、光電子倍増官をそなえた顕微鏡によって蛍光の測定を開始した。10分後に70秒間、100%窒素を吸入した後(低酸素)、室内気に戻し(再酸素化)50分間測定した。(結果)再酸素化10分後より最終50分の時点まで、低酸素前と比較して蛍光値の有意な上昇が認められた。(p<0.01)。以上より、低酸素後10分の時点から細胞内H_2O_2の濃度が上昇していることが確認され、低酸素負荷後早期より細胞内において活性酸素の産生が増加する可能性が示された。
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Research Products
(1 results)