1998 Fiscal Year Annual Research Report
家族性アルツハイマー病における転写因子制御異常の分子機構の解析
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10770293
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
姚 野崎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30301493)
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Keywords | 神経変性疾患 / アルツハイマー病 / 転写因子 / ツーハイブリッド法 |
Research Abstract |
本年度はまず初代培養神経細胞におけるアルツハイマー病(ア病)原因遺伝子(バリン642型APP変異体およびプレシナリン1/2変異体)のCRE抑制作用とその脳領域特異性の検討を行った。遺伝子微量注入法によりア病原因遺伝子をマウス初代培養CAl海馬神経細胞に発現し、同時に注入したCRE-CATレポーター遺伝子を介するCRE活性をジギトニン標識抗CATによる免疫組織染色することにより検出する手法を用いて、それら遺伝子産物の転写活性制御機能を検討した。またApoE3/4を細胞外から処理した後の増強効果を検討することにより、ApoE分子のア病態への影響を考察した。さらに、同じ系を用いて、海馬CAl領域以外のマウス大脳の各所より単離した初代培養神経細胞でのア病原因遺伝子微量注入がCRE活性に及ぼす抑制作用の差を検討することにより、ア病における神経障害メカニズムの脳領域特異性の解析を試みた。他方、上記の初代培養神経細胞を用いて、ア病原因遺伝子の発現がLTPに対して及ぼす抑制作用を電気生理学的に解析することにより、ア病変異体遺伝子が実際に記憶増強のモデル機構を障害するか否かの検討を開始した。来年度は、ここで検討されたLTPの抑制とCREの抑制との因果関係を、優性抑制性CREB遺伝子の発現等により明らかにする予定である。また、APP変異体がCRE抑制作用を誘導する際の標的分子を同定する目的で、この変異体のセカンドメッセンジャーは活性化したGo蛋白のαサブユニット(Gαo)であるという知見に基づき、酵母two hybrid法によるGαoの標的分子同定を開始した。このGαo作用に介在する標的分子は未知の分子であると推定され、恒常性活性型GαoQ205L遺伝子をbaitに、ヒト大脳cDNAライブラリーをtargerに用いて、検索を実施中である。
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