1999 Fiscal Year Annual Research Report
血圧調節および腎ナトリウム代謝調節に及ぼす高インスリン血症の効果
Project/Area Number |
10770311
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
滝沢 英毅 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00295362)
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Keywords | インスリン / 腎血流量 / キニン / 一酸化窒素 / 高インスリン血症 / ナトリウム利尿 |
Research Abstract |
【目的】我々は若年正常血圧者で高インスリン血症の腎血流量増加とNa利尿作用を報告したが,その詳細な機序は未だ不明である。そこでインスリンのこれらの腎作用におけるキニンと一酸化窒素(NO)の関与をラットで検討した。【方法】8週齢の雄性Sprague-Dawleyラットを用い,グルコースクランプ(GC)法によるインスリン持続静注群(I群)とキニン受容体拮抗薬Hoe-140で前処置したインスリン静注群(H群)をもうけ,GC法施行時の腎血漿流量(RPF),糸球体濾過率(GFR),尿量(UV),尿中Na排泄量(UNaV),血中と尿中NOx(p-NOx,u-NOx)およびcGMP(p-cGMP,u-cGMP)を測定し,各々インスリン非投与のC群と比較した。【結果】RPF,GFR,UVおよびUNaVはいずれもI郡でC群より有意に高値だったが,H群のそれらはI郡に比し有意に低値で,C群との差を認めなかった。P-NOx,s-cGMP,u-NOx,u-cGMPはいずれも3群間で差はなかった。【総括】インスリンは腎血流量増加を介してNa利尿をもたらすが,これがキニン受容体拮抗薬で抑制されたことから,インスリンの腎血流量増加にはキニンが重要な役割を果たしていると考えられた。また,血中と尿中のNOx,cGMPに差がなかったことより,インスリンのキニンを介する腎血管拡張作用には一酸化窒素の関与は少ないと考えられた。以上の結果を第42回日本腎臓学会学術総会(平成11年6月)で発表した。【考案】血中,尿中の一酸化窒素とそのシグナルの変化がみられないことから今後は腎血管床における同系の関与を検討したい。
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