1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい侏儒症動物モデル(rdwラット)の心筋ミトコンドリア電子伝達系に関する研究
Project/Area Number |
10770317
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
土屋 直隆 北里大学, 医学部, 助手 (00301474)
|
Keywords | 甲状腺機能低下症 / ストレス蛋白 / 活動電位 / 心拍数 / 刺激伝導系 |
Research Abstract |
原発性甲状腺機能低下症ラットrdwは、常染色体劣性遺伝を示し、下垂体のGH.PRLのmRNA、蛋白量は減少し血中濃度も極端に減少していることから、当初は下垂体性の遺伝性侏儒症ラットとして報告された。しかし、血中TSHが高値でT3、T4が著明に低下し、甲状腺治療によりrdwの体重および下垂体機能の回復が示されたことより、rdwは原発性甲状腺機能低下症と結論された。rdwの甲状腺は、濾胞腔へのコロイドの蓄積は見られず、^<125>Iの取り込みも低下している。rdwの電顕像は小胞体の膨化、核の移動、分泌顆粒の消失が特徴的であった。rdw甲状腺の蛋白質解析では、ストレス蛋白、数種の分子シャペロンの著しい増加が見られ、小胞体貯蔵病に分類された。 次に、甲状腺ホルモンは心拍数、心筋細胞への活動電位持続時間に影響することから、rdwの心電図変化について検討した。rdw/rdwラットと対照として+/rdwラットを使用し、心電図はネンブタールで麻酔した後、100mm/secの記録紙速度で、四肢誘導とV1、V5に相当する胸部誘導を記録した。心拍数はrdw/rdw163±18(mean±SD)、+/rdw345±63で、両群間で有意な差を認めた。電気軸には両群間で有意差を認めなかったが、P波の幅、PQ間隔、QRS幅、QTc間隔は、いずれの誘導においても+/rdwに比較してrdw/rdwで有意に延長していた。rdwでは、心房および心室で刺激伝導遅延が認められ、特殊心筋繊維を含む心筋の障害が示唆された。 以上のことから、rdwにおける心筋障害の機構解明とともに、rdwは心機能研究のモデル動物としても有用であると考えられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] N.Tsuchiya,et.al.: "Age-associated changes in mitochondeial mRNA expression and translation in the Wpatar rat heart." Mechanisms of Aging & Development. 103(2). 179-193 (1998)
-
[Publications] 土屋直隆 他: "感染性心内膜症" 疾患別最新処方. 130-131 (1998)