1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770321
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹下 晃子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40276241)
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Keywords | 心筋細胞 / 分化 |
Research Abstract |
心筋細胞のもとである『心筋幹細胞』は、胎児だけにあり、大人になれば消えてなくなると考えられてきた。そのため心筋梗塞等で失われた心筋細胞を再生してよみがえらせることは不可能とされてきた。今回我々は大人のマウスの骨髄から抽出した骨髄間質細胞を特別な条件下で培養すると、横紋構造をもち自動拍動する細胞に分化することを発見した。さらにこの細胞は分化しないまま自己増殖を繰り返すこともわかりCMG(cardimyogenesis)細胞と命名して細胞の解析をおこなってきた。CMG細胞の心筋細胞としての表現形を解析するため、心筋細胞特異的蛋白質の発現を観察した。筋特異的な遺伝子発現の解析では、αMHC、βMHC、α cardiac actin、α skeletal actinすべての発現が認められた。発現量はβMHC、α skeletal actinの方が豊富であった。CMG細胞はMLC2vは発現していたが、MLC2aの発現は検出できなかった。心臓からの分泌蛋白であるANP,BNPもCMG細胞ではその発現が観察された。また心筋特異的な転写因子であるCsx/Nkx2.5、GATA-4、筋肉細胞特異的な転写因子であるTEF-1のmRNAの発現を心筋、骨格筋を陽性、陰性対照としてRT-PCR-Southern法により解析した結果、転写因子に関しては心筋細胞、CMG細胞ではCsx/Nkx2.5、GATA-4、TEF-1遺伝子の発現を認めたが、骨格筋ではTEF-1のみの発現が観察された。これらの転写因子は分化誘導前より発現していた。CMG細胞は筋細胞特異的な転写因子であるMEF2 familyのうちMEF2A,MEF2C,MEF2Dの発現が観察された。しかし、その発現時期は3者で異なり、MEF2Cは分化誘導前で発現が認められたが、MEF2A,MEF2Dは分化誘導後に発現されることが示された。CMG細胞分化の過程は生体の心臓のmyogenesis, morphogenesisが起きる段階に発現している転写因子、筋形質の発現と同じパターンを示した。 今後は分化させたCMG細胞をマウスに移植する実験をすすめていく予定である。現在、細胞のマーキングのためにGFP蛋白のトランスフェクションを行っている。 これらの結果は、The Journal of Clinical Investigationに投稿中である。
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