1998 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙者の血小板由来一酸化窒素放出障害および血小板凝集亢進に対するビタミンCの効果
Project/Area Number |
10770333
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高城 喜典 久留米大学, 医学部, 助手 (10279169)
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Keywords | 血小板由来一酸化窒素 / 喫煙 / ビタミンC / グルタチオン |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)産生放出機構は血小板にも存在し、血小板活性化時にNOを産生放出する血小板粘着凝集に対するnegative feedback機構である。喫煙は虚血性心疾患の危険因子であり、喫煙者では血管内皮由来NO産生が減弱し、虚血性心疾患の発症進展と関連する。我々は常習喫煙者において血小板由来NO放出能および血小板中cyclic GMP産生が低下し、血小板凝集能が冗進していることを報告した。喫煙による影響は酸化ストレスに伴うものであり、喫煙者では代表的な抗酸化剤であるビタミンCの血漿中濃度が低下していることが知られている。最近ビタミンCの単回経口投与が冠動脈疾患の患者における内皮依存性血管弛緩反応の低下を改善することが報告されたが、喫煙者における血小板由来NO放出能の低下および血小板凝集能亢進を改善するか否かは未だ不明である。本研究では抗酸化剤であるビタミンC単回経口投与が非喫煙者の血小板由来NO放出能および血小板凝集能に与える影響を検討すると同時に、その機序に関して血小板内の代表的抗酸化剤であるビタミンC、グルタチオンに着目して検討する。喫煙者、非喫煙者それぞれ30名より採血し多血小板血漿、乏血小板血漿を作成した。IIPLC法を用いて各々のビタミンC濃度を計測し血漿中および血小板内濃度を同定した。同様にして血小板内グルタチオン濃度も同定した。また洗浄血小板浮遊液を作成し、血小板由来NO放出能も測定した。結果 以前の報告と同様に喫煙者では血小板由来NO放出能および血小板中cyclic GMP産生が低下し、血小板凝集能が亢進していた。このとき喫煙者ではビタミンCの血漿中濃度は非喫煙者にくらべ有意に低下していた。また血小板内ビタミンC、グルタチオン濃度についても喫煙者は非喫煙者にくらべ有意に低下していた。今後は血小板内ビタミンC濃度の低下が血小板由来NO放出能の低下に関与している可能性がありビタミンCの単回経口投与が血小板由来NO放出能の低下、血小板内ビタミンC濃度におよぼす効果を検討予定である。
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