1998 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤内皮細胞による未分化造血幹細胞維持、増幅に関する研究
Project/Area Number |
10770369
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 陽子 東京慈恵会医科大学, 小児科学講座, 助手 (10194862)
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Keywords | 胎盤 / 内皮細胞 / 造血幹細胞 / CD34 / CD38 |
Research Abstract |
胎盤由来内皮細胞とその臍帯血由来造血幹細胞を接触させることにより両者の相互作用について検討することをin vitroの目的とした。胎盤組織の1部を無菌的に採取し、meshにより細胞を分離し、RPMI1640および同胎盤臍帯血由来血清を用いて5%CO2,5%O2の条件で培養した。胎盤より同時に採取した臍帯血単核球からカラムを用いてCD34+細胞を分離し、液体窒素に凍結保存した。胎盤由来組織を培養すると繊維芽細胞様の形態を2-4週後に認め、この時点で同一胎盤由来のCD34+造血幹細胞を共培養した。1週間後、2週間後、4週間後の細胞数を検討したところ、2週後に約150-427倍にまで増えた。またCD34陽性造血幹細胞も1週後に7.1-24.7倍まで増幅された。一方CD34+CD38-の未分化な造血幹細胞の増幅は1.1-3.4倍にとどまった。 次にこの胎盤内皮細胞の造血幹細胞増幅作用の機序について接触することが重要なのか、内皮細胞から分泌されるサイトカイン等が重要なのかを検討した。内皮細胞の培養液をCD34+造血幹細胞の培養系に添加したところ、細胞数は2週後に3.3-7.8倍の増加にとどまった。CD34+細胞の絶対数は1.5-2.6倍の増加を示したが、CD34+CD38-の未分化な造血幹細胞は0.4-0.7倍とむしろ減少した。以上の結果より胎盤内皮細胞は造血幹細胞と接触することにより造血幹細胞、特に未分化なものも含めて増幅させる作用があると考えられた。
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