1998 Fiscal Year Annual Research Report
表皮角化細胞による血小板由来増殖因子産生機構の研究
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10770396
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 俊典 金沢大学, 医学部, 助手 (30281025)
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Keywords | 表皮角化細胞 / PDGF / 創傷治癒 |
Research Abstract |
これまでの研究の結果,通常の増殖培地では表皮角化細胞の抽出蛋白・培養上清ともPDGFは検出されず,EGF,basicFGFを添加したとき,培養上清のみからウエスタンブロットでPDGFのバンドが検出された。さらに抗PDGF-AA抗体,抗PDGF-BB抗体を用いて検討したところ,表皮角化細胞が主として産生するのはPDGF-AAが明らかとなった。 同様にモルモットの皮膚欠損モデルで免疫組織化学とin situ hybridizationにより表皮角化細胞の発現するPDGFの型を検討したところ,創辺縁部と再生表皮にPDGF-AAの蛋白およびmRNAが発現しており,培養系と一致する結果が得られた。 すなわち表皮角化細胞は通常PDGFを発現していないが,サイトカインなどの刺激により増殖期に入ると主としてPDGF-AAを産生するようになり,産生されたPDGF-AAは速やかに分泌されるものと推測された。 PDGFを介した皮膚のサイトカインネットワークの,特に創傷治癒過程における作用機序の解明のため,今後さらに(1)表皮角化細胞にPDGFを産生させるサイトカインやそのほかの因子,(2)分泌されたPDGFの近接組織に対する作用について検討する予定である。
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