1998 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚特異的遺伝子破壊法によるGPIアンカー型蛋白の角層形成に及ぼす影響
Project/Area Number |
10770406
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樽谷 勝仁 大阪大学, 医学部, 助手 (30301261)
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Keywords | GPIアンカー型蛋白 / 角層のバリア機能 / 角層細胞間脂質 |
Research Abstract |
1) 表皮特異的GPIアンカー欠損マウスの生理学的な検討 我々が作製した表皮特異的GPIアンカー欠損マウスは生後2日頃に死亡し、電顕所見でlarnellar granuleという表皮角層に脂質を分泌し、皮膚における水分保持の役割をしている部分に異常が認められたため、この死因が角層の水分蒸散量の異常増大にあると考えられた。そこでこの表皮特異的GPIアンカー欠損マウスと野生型マウスで水分蒸散量に差がないかどうかをテバメーターを用いて調べた。その結果、水分蒸散量は野生型マウスと比べこのマウスのTEWL値は上昇しており、角層のバリア機能の破壊が示唆された。 2) 表皮特異的GPIアンカー欠損マウスの生化学的な検討 この表皮特異的GPIアンカー欠損マウスでは電顕所見でlamellar granuleという表皮角層に脂質を分泌する細胞内小器官に異常がみられ、その結果角層の層の増加、角層細胞間の異常が起こっていると考えられた。そこで薄層クロマトグラフィーを行い角層間脂質を解析したところ、このマウスにおいて異常に増加している脂質のスポットが検出された。その増加している脂質のスポットがアルカリ性の条件では移動度が小さかったためまず中性の条件で薄層クロマトグラフィーで展開し、次いでアルカリ性の条件で薄層クロマトグラフィーで展開したところ、この増加している脂質は少なくとも2つのスポットに分かれることが判明した。 3) 表皮特異的GPIアンカー欠損マウスの肉眼的、組織学的な検討 この表皮特異的GPIアンカー欠損マウスは生後2日で死亡してしまうため、生後すぐのマウスの表皮をヌードマウスに移植し、経時的にその変化を観察した。移植後1カ月目に両マウスを比較検討したところ、このノックアウトマウス由来の皮膚には発毛が出現せず、先天性魚鱗癬様の角層の肥厚が観察された。組織学的にも表皮の肥厚が認められた。
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