1999 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の表皮における神経ペプチドとその病因的役割
Project/Area Number |
10770419
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
加倉井 真樹 自治医科大学, 医学部, 助手 (80285791)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 神経ペプチド |
Research Abstract |
1 皮膚における神経ペプチドの局在について免疫組織化学的に検討した。アトピー性皮膚炎と乾癬患者の病変部皮膚と健常者について比較した。神経ペプチドはVasoactive intestinal peptide(VIP),サブスタンスP(SP),calcitonin gene related peptide(CGRP)について検討した。抗VIP抗体では、アトピー性皮膚炎および乾癬患者の病変部皮膚において表皮細胞間に蛍光が認められ、健常者との差が見られた。CGRP抗体では、アトピー性皮膚炎、乾癬患者の病変部皮膚の表皮内や、真皮乳頭層に神経線維様の蛍光が認められ、健常者との間に差が認められた。SP抗体では、健常人との差は認められなかった。 2 有棘細胞癌株(DJM-1),ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF),ヒト皮膚角化細胞(NHEK)のtotal RNAを抽出し,RT-PCR法により,VIP,VIP receptor 1(VIP1R),VIP receptor 2(VIP2R)の発現をmRNAレベルで検討した。DJM-1において、VIP1R-およびVIP2R-mRNAは認められたが、VIP-mRNAは認められなかった。NHEKでは、VIP1R-mRNAのみ認められた。NHDFにおいては、いずれも認められなかった。 3 培養表皮細胞におけるのVIP1Rの発現に対するサイトカインの作用をRT-PCR法により検討した。DJM-1を培養し、培養液中にIL-4,TNF-α,INF-γを添加した。サイトカイン添加培養1,3,6,12,24時間培養後,DJM-1中VIP1RのmRNAの発現を半定量し、比較したが、サイトカイン添加前後において有為な差は認められなかった。 今回の検討では、VIPやCGRPがアトピー性皮膚炎や乾癬において何らかの役割を果たしている可能性が示唆されたが、マスト細胞やリンパ球など真皮に存在する細胞から放出されるサイトカインが、表皮細胞のVIP receptorの発現の制御に関わっているかどうかについては明らかにされなかった。
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