1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770459
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 透 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80297415)
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Keywords | ステント / IVR / 金属腐食 / 電位差 / 金属溶質 |
Research Abstract |
現在、体内に金属を埋め込む手技が血管内の治療手技(IVR)を利用した金属ステントを用いた血管拡張術などでも行われるようになっているが、このような場合、金属の腐食や溶出が問題となる。また、このような手技が発達するにつれ体内に各種の金属が存在するようになり、金属相互間の影響も出現すると考えられる。実際歯科領域では異なる金属の接触による電位差を生じるための腐食が問題となっている。血管内に留置したときの金属の腐食、溶解についての報告はない。電位差から金属溶出量をファラデーの法則に基づき推定できる。そこで今回我々は、血管拡張術に実際に使用される金属ステントを用いて2種類の金属間での電位差を測定した。材料は素材がステンレスのZステント(以下Z)、316Lステンレスのウオールステント(W)、ルービンステント(R)、パルマッツステント(P)、ナイチノールのアキュフレックスステント(A)、ニッケルチタンのNTステント(N)の6種のうちの2種の各組み合わせで、各ステントをヒト血漿(37℃,pH7.366)に1.0cmを浸し、東亜電気工業製高感度直流電圧電流計PM-18Uにてステント間の電位差を測定した。結果はWをプラス極側にしてZは+230mV、Aは-280mV、Pは-280mV、Nは-150mV、Rは-130mV、Zをプラス極側にしてAは-300mV、Pは-320mV、Nは-250mV、Rは-150mV、Aをプラス極側にしてPは+90mV、Nは+50mV、Rは+85mV、Pをプラス極側にしてNは+55mV、Rは+85mV、Nをプラス極側にしてRは+33mVであった。以上からよりプラス極側からA、P、N、R、W、Zの順となり2種のステント留置の際この順位の両極程溶出が増加すると考えられた。しかし今回は溶出量の測定までは出来ず来年度溶出元素の測定を施行する予定である。
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