1999 Fiscal Year Annual Research Report
周産期の動脈平滑筋細胞Ca電流、Na-Ca電流の発達に伴う変化についての研究
Project/Area Number |
10770550
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 まりこ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20297485)
|
Keywords | 平滑筋細胞 / カルシウム電流 / Na-Ca電流 / 血管 / 新生仔 |
Research Abstract |
血管平滑筋の収縮弛緩は血圧や血管抵抗を制御し、胎児や新生児の肺高血圧、心不全に大きな影響を与える.血管平滑筋の収縮弛緩はカルシウム(Ca)イオンによって媒介されている.細胞外から細胞内へ流入するCaの経路としては、Ca電流とNa-Ca交換電流がある.Na-Caチャンネルを介し細胞内に流入するCa電流は、平滑筋の収縮、ひいては血管の収縮に重要な役割を占める. 本研究ではパッチクランプ法を用いて新生仔家兎の血管平滑筋細胞でNa-Ca交換電流の発達に伴う変化を調べた.動物は、生後5日の新生仔家兎、生後6-12カ月の成獣家兎を用いた.各年齢群の大動脈、肺動脈よりコラゲナーゼを用いて平滑筋細胞を単離し、ガラス微小電極を用いwhole-cell voltage clampを施行し、Ba,Cs,Tetraethylammonium,D-600,ouabainによりNa電流、Ca電流、K電流、Naポンプを阻害した状態で、Na-Ca電流を測定した.5mM Niの非存在下と存在下の電流の差をNa-Ca電流とした.保持電位を-120から+60mVまで変化させた.電流は細胞のCapacitanceで補正し、比較した. +50mVでのNa-Ca電流は新生仔で3pA/pFであった.一方、成獣では0.75pA/pFで、新生仔に比べ小さかった.以上の結果は、未熟な大血管平滑筋細胞ではNa-Ca電流の役割が大きいことを示す. 未熟な大血管平滑筋細胞ではNa-Ca電流が大きい原因は未だ不明であるが、Na-Ca交換蛋白の発現がより大きいのかもしれない.
|