1998 Fiscal Year Annual Research Report
胃・大腸癌でのSMAD遺伝子の異常、及び多変量解析による臨床病理学的因子との検討
Project/Area Number |
10770584
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高木 幸浩 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (90293571)
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Keywords | Smad遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / Smad4 / Smad2 |
Research Abstract |
TGF-beta signaling pathwayに関わる重要なシグナル伝達機構分子SMAD群の遺伝子についてヒト大腸癌、胃癌での検討を行い、これらの遺伝子異常と臨床病理学的因子との関連を検討した。これまで胃癌35例・大腸癌48例について解析が終了したところであるが、その結果を報告する。 胃癌:(a)SMAD2,4の異常はPCR-SSCP法で認めなかった。大腸癌:(a)SMAD4遺伝子異常は7例で、内5例にPCR-SSCPにて移動度の異なる変異DNAを認めた。サブクローニングにて各々の塩基配列を検索した結果、Case9は12塩基対の欠失、Case21はcodon350においてValからAspへの点変異(以下表記法をV350Nとする)、Case24はK340Eを示した。以下、Case12はA118E,Case36はE330Aの点突然変異4例とCase4,5はmRNAの発現低下であった。(b)SMAD2遺伝子異常は3例に認め、Case31においてPCR-SSCPにて異常を認め、塩基配列を決定したところH441Rであった。また、Case4,5はmRNAの発現低下であった。これらの結果と臨床病理学的因子との関係を解析すると、SMAD4遺伝子陽性症例は病期がIII以上であり、かなり進行した症例ばかりであった。組織型は5例中4例が中分化型腺癌であったが、Case36は粘液癌で家族性大腸腺腫症から発癌した。SMAD2遺伝子変異例はlyO,vO,nO,ssで遠隔転移の無い症例であった。Case4,5はSMAD4,2領域のhomozygos deletionと考えられたが、nO症例であった。統計学的に解析できるSMAD4について変異と臨床病理学的因子との関係をロジスティック回帰分析による多変量解析を用いて検討したところ、SMAD4遺伝子変異例はpN因子にのみ有意差を認めた。変異部位をSMAD-4,2の塩基配列に照らし合わせてみた場合、MH1(Mad homology 1)に1箇所、MH2に5箇所の変異部位が存在した。MH2の5箇所のうち4箇所がSMAD4,2の両遺伝子に保存されたアミノ酸に生じた変異であった。胃癌では異常を認めなかったが大腸癌では8例に異常を認めた。異常の型は点変異が5例でその変異部位は構造機能的に重要とされる部位と判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yukihiro Takagi: "Somatic alterations of the SMAD-2gene in human colorectal cancers" British J Cancer. 78・9. 1152-1155 (1998)
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[Publications] 高木 幸浩: "シグナル伝達関連因子-Smad Family-" 外科. 60・12. 1439-1443 (1998)