1998 Fiscal Year Annual Research Report
COX-2抑制による大腸癌肝転移の新しい予防法の開発
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10770592
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
立松 秀樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60276277)
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Keywords | COX-2 / 大腸癌 / 肝転移 |
Research Abstract |
【目的】近年,PGE_2と細胞増殖因子との関連やCOX-2と細胞間接着因子,アポトーシスへの影響等が報告されており,PGE_2やCOX-2と癌細胞の増殖や転移の関連性が指摘されている。そこで,COX-2発現と大腸癌肝転移との関連性を明らかにすることを目的とした。【対象及び方法】(1)in vitro:(1)ヒト大腸癌株(高肝転移株:HT-29,WiDr-M,SW1116,NCC-CO33,低肝転移株:WiDr-W,HCT15,非肝転移株:Colo 201,Colo 205)におけるCOX-2 mRNA発現をRT-PCR法により検討した。(2)免疫組織染色法によるCOX-2の局在部位を同定した。(2)in vivo:(1)HT-29をSCIDマウスの皮下へ1x10^6個注入し各種濃度(Aspirin 15mg/Kg,JTE-522(10mg/Kg,30mg/Kg))のNSAIDsを4週間連日,強制経口投与し細胞増殖抑制効果を検討した。(2)HT-29をSCIDマウスの脾漿膜下へ1x10^6個注入して脾注肝転移モデルを作製し,(1)と同様の方法で各種濃度のNSAIDsを強制経口投与し4週間後に肝転移の評価を行った。【結果】(1)in vitro:(1)高肝転移株では全例にCOX-2m-RNAの発現が認められたが非肝転移株では発現は認められなかった。(2)免疫染色法では一部の大腸癌の細胞質内に顆粒状にCOX-2発現を検出し得た。(2)in vivo:(1)Aspirin 15mg/KgおよびJTE-522(10mg/Kg)では対照群と比較し有意差は認められなかったがJTE-522(30mg/Kg)では対照群に比し有意に腫瘍の増殖抑制効果が認められた。(2)NSAIDS投与群では対照群と比較し肝転移抑制効果および脾臓内腫瘍増殖抑制効果が認められた。【考察】in vitroでは高肝転移株では全例にCOX-2m-RNAの発現が認められたが,非肝転移株では発現は認められなかった。また,in vivoではNSAIDs投与による腫瘍増殖および肝転移抑制効果が認められたことより,COX-2阻害剤は大腸癌肝転移阻害剤として有用な可能性が示唆された。
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