1998 Fiscal Year Annual Research Report
plasmidを用いたTIMP-2遺伝子の癌組織への注入による治療の可能性
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10770624
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
多田 真和 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00260844)
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Keywords | MMP-9 / 胃癌 / 大腸癌 / 食道癌 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
癌の浸潤および転移の際主要な役割を果たすとされるMatrix Metalloproteinases-9(以下、MMP-9)の腫瘍マーカーとしての有用性を検討する目的で、胃癌55症例(胃癌群)、大腸癌15症例(大腸癌群)、食道癌7症例(食道癌群)および膵臓癌7症例(膵臓癌群)の術前末梢血中MMP-9活性の測定を、ゼラチンを基質としたザイモグラフィーにて行い、デンシトメトリーにより測定した。対照群14症例(23-53歳、平均31.7歳)のMMP-9の平均値は218.4±133.9であった。胃癌群のMMP-9の値は375.6±188.9、大腸癌群490.9±130.0、食道癌群470.6±73.5、膵臓癌群462.3±179.5といずれも高値を示し、対照群との間に統計学的有意差を認めた(P<0.05)。また、胃癌群のstage別の値を比較したところ、stageIは333.6±142.1.stageIIは308.7±176.4、stageIIIは360.6±186.9、stageIVは474.0±225.3であり、stageIとstageIVの間において統計学的有意差を認めた(p<0.05)。 MMP-9は、胃癌では早期の症例でも対照群と比較し有意に高値を示しており、胃癌の早期発見に有用となる可能性が示唆された。大腸、食道、膵臓癌患者においてもMMP-9の値は対照群に比べて高値を示し、これらの消化器癌患者においても、その早期発見に腫瘍マーカーとして有用である可能性が示唆された。今後はさらに症例を重ねることにより、stage以外の他の病理組織学的因子との関連性を検討していきたい。また、術後継時的にMMP-9活性を測定することにより再発および予後の予測に応用できないかを検討していく予定である。
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