1999 Fiscal Year Annual Research Report
ischemic preconditioningにおける液胞型H^+ポンプの役割
Project/Area Number |
10770666
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
川口 英樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (40247911)
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Keywords | Ischemic preconditioning / 液胞型H^+ポンプ |
Research Abstract |
非致死的なストレスを受けた心筋はその後の致死的な代謝ストレスに対して耐性を獲得することが知られている。その中でもIschemic preconditioning(IP)は虚血再灌流心筋に対し強い心筋保護効果を発揮する方法として幅広く研究されているが、IPCによる心筋保護効果の正確な機序はいまだに不明である。従来、ATP感受性K^+チャネル(KATPase)がIPCによる心筋保護作用のend-effectorとして注目されていたが、最近になり、KATPの活性化に伴う活動電位の短縮のみでは説明できないことが明らかになり、KATPの活性化とは別の機序が関与している可能性が示唆されている。我々は新しい機序として虚血心筋細胞内アシドーシスに対する防御機構としての液胞型H^+ポンプ(VATPase)の役割を検討した。ラットの摘出灌流心を25分間の常温虚血としたC群、25分間虚血前に2分間の虚血と5分間の再灌流を3回繰り返しIPCを施行したP群、IPC前後にVATPaseの特異的阻害剤bafiromycineA_1(BA_1)50nMを投与したB群を実験群として設定した。再灌流30分後の各群の心機能回復率を比較した。C群に対しP群で有意に冠灌流量およびLVDPの増加とLVEDPの低下を認め、B群ではP群に対し有意に冠灌流量およびLVDPの低下とLVEDPの上昇を認めた。BA_1は虚血によって惹起される心機能の低下(stunning)に対するIPCの改善効果を阻害した。以上の実験結果よりIPCの心筋保護作用発現にはVATPaseの活性化が関与していることが示唆された。
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