1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌におけるテロメラーゼ活性を用いた微量癌細胞の検出系の確立
Project/Area Number |
10770672
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
多賀 聡 産業医科大学, 医学部, 助手 (40299615)
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Keywords | 肺癌 / テロメラーゼ活性 / 微量癌細胞 / 気管支肺胞洗浄 |
Research Abstract |
本研究はテロメラーゼ活性を用いて大量の正常細胞中に存在する極めて微量な癌細胞の検出系を確立し,肺癌における術前診断の補助,術後治療計画の指標とすることを目的に計画した。 (1) まず肺癌原発腫瘍のテロメラーゼ活性を,TRAP(Telomerase Repeat Amplificaation Protocol Assay)の原法により肺癌切除症例107例の癌部と正常非癌肺組織より測定した。正常非癌肺組織からは全例テロメラーゼ活性は検出できなかったが,肺癌腫瘍組織では107例中89例(83.2%)でテロメラーゼ活性が検出された。小細胞癌は全例(4/4),非小細胞癌では103例中85例(82.5%)でテロメラーゼ活性が検出された。非小細胞癌の組織型では検出率に差はなかったが,病期ではIIIB,IV期の進行肺癌では全例に検出された。テロメラーゼ活性は肺癌において約80%に検出されることから微量癌細胞の検出系の有用なマーカーであると考えられた。 (2) つぎに気管支肺胞洗浄液(BAL)中のテロメラーゼ活性の測定をTRAP-eze^<TM> Telomerase Detectiont Kitを用いてnon-RI法で行なった。その結果,internal controlの発現は強く認めたが,BAL中(10^3-10^4cells)のテロメラーゼ活性の発現は弱く,non-RI法では解析不能であった。現在PCRの条件(とくに回数),BAL細胞数の増量(10^6cells),PCR阻害物質の希釈,など再度,適正条件の決定をRI法にて行なっており,次第に良好な検出感度が得られる段階となってきた。 (3) テロメラーゼ活性の検出効率(株化肺癌細胞とリンパ球を用いる)の検討は現在進行中である。
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