1998 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性ハイドロキシアパタイト顆粒の脳血管病変に対する塞栓効果と顆粒径による変化
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10770677
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長島 久 信州大学, 医学部附属病院 脳神経外科, 助手 (20262727)
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Keywords | 血管撮影 / 脳血管撮影 / ハイドロキシアパタイト / 脳血管内手術 / 塞栓術 / 塞栓物質 / 神経放射線 / Interventional Neuroradiology |
Research Abstract |
ハイドロキシアパタイト顆粒(直径100μm-250μm)を、生理的食塩水・ヨード系造影剤(以下生食・造影剤液)に浮遊させた状態で、頸部を切開、露出したラット(ウイスター)の左総頸動脈内に注入を行った。2週間後に全身を灌流固定後、脳および側頭筋組織を摘出、脱灰し、組織切片による血管閉塞状態を観察した。しかし、通常の多孔性ハイドロキシアパタイトを顆粒化したものでは、比重が大きく沈降速度が早いため、安定した注入が得られず、再現性に乏しいため、この材料による実験は中止した。 次に、安定した血管閉塞を得るために適した、ハイドロキシアパタイトを用いかつ比重の比較的小さい微細顆粒を新たに試作した。従来の「多孔性」材料はゲル状のハイドロキシアパタイトに樹脂の小粒子を混合し焼成したブロックを破砕して創られていた。そこで、有孔率を上げるため、ハイドロキシアパタイトゲルよりスプレードライ法を用いて直径10-40μmの小粒子を作成、これを集成した形で焼成する事により、有孔率が高く生食・造影剤液内でも緩徐に沈降する材料の作成に成功した。この顆粒を用い、X線透視下にラットの総頸動脈内に緩徐に注入、4日、10日、14日後に灌流固定後に脱灰標本を作成し、周囲組織における組織反応を検討した。この結果、本顆粒により比較的安定した血管閉塞病変の作成が可能であり、また、周囲組織における反応も軽度であることが確認された。現在は、顆粒によって閉塞された血管をより長期的に観察、長期間経過した場合の再疎通の形態と程度、顆粒の生体内での変化についての観察、および、顆粒径と閉塞される血管径との相関につき検討を進めている。また、より、均一な形態を持ち、より浮遊性の高い顆粒の開発に向け、焼成温度の変更等の試作を行っている。
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