1999 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性ハイドロキシアパタイト顆粒の脳血管病変に対する塞栓効果と顆粒径による変化
Project/Area Number |
10770677
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長島 久 信州大学, 医学部・附属病院・脳神経外科, 助手 (20262727)
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Keywords | 血管撮影 / 脳血管撮影 / ハイドロキシアパタイト / 脳血管内手術 / 塞栓術 / 塞栓物質 / 神経放射線 / Interventional Neuroradiology |
Research Abstract |
昨年度の研究にて、生理的食塩水・ヨード系造影剤混合液内においてゆっくりと沈降し、安定した塞栓効果を得るための「浮遊性」ハイドロキシアパタイト顆粒を作成した。 この試料を用い、X線透視下にラット総頸動脈内に注入、2,4週間後に灌流固定し脳、側頭筋組織の脱灰標本を作製した。これによって得られた検体を用い、血管内における顆粒自体及び周囲組織の変化、虚血性変化に陥った周囲組織における変化、閉塞部位における顆粒径と閉塞血管径との関係につき観察・検討を行った。この結果、血管内にとどまったハイドロキシアパタイト顆粒は4週後には内皮に覆われ内膜組織内へと取り込まれるとともに閉塞部位の部分的再疎通が起こること、壊死に陥った周囲組織の器質化、および顆粒により閉塞される血管径は実際の顆粒径より大きな部位であることが確認された。また、顆粒内間隙への骨芽細胞などの進入は認めなかった。 また、これらの研究と平行し、使用する顆粒の焼結温度による浮遊性等の特性の変化、治療用カテーテルにおける通過性(以下通過性)等、作成した顆粒の実用化に必要な検討を行った。その結果、未焼結あるいは700度の低温で焼結した素材は非常に浮遊性、通過性とも高い特性を認めたが、顆粒の機械強度が弱く顆粒の浮遊、注入操作に伴う断片化が起こり、スプレードライ方で作成した微小な基本顆粒が遊離しやすい傾向が観察された。また、900度以上で焼結すると硬度が上がり浮遊性、通過性が低下するため、800度で焼結行った顆粒が最も塞栓材料としての素性が良いものと考えられた。 現在、より安定した浮遊性、通過性を顆粒に付与するため、より均一な形状の顆粒を作成するための技術的な検討を行っている。
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