1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血による神経細胞でのNFκBおよびc-junの活性化と低体温によるその抑制
Project/Area Number |
10770699
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
飯田 隆昭 金沢医科大学, 医学部, 助手 (90212703)
|
Keywords | NF-κB / 脳虚血 / アポトーシス |
Research Abstract |
一過性前脳虚血後のスナネズミ海馬CA1錐体細胞の遅発性神経細胞死におけるアポトーシス関連遺伝子群の発現誘導機構に関して,転写因子NF-κBの活性化に注目して検討し,以下の結果を得た. 1.偽手術および虚血再灌流5,10,20,30,60,120分後の海馬CA1領域の核分画蛋白のFITC標識NF-κB結合配列DNAプローブ(FITC-5'-AGTTGAGGGGACTTTCCCAGGC-3')によるgel shift assay法により,一過性前脳虚血再灌流5分後から始まり,再灌流20〜30分後をピークにした泳動遅延バンドを観察した. 2.偽手術および虚血再灌流5,10,20分後の海馬CAl領域の核分画蛋白の抗NF-κBp65抗体に対するWestem blot法により,NF-κBp65の核内移行は虚血再灌流5分後からみられ,虚血再灌流20分後まで亢進を認めた. 3.非虚血および虚血再灌流30分後の海馬前額断凍結切片上で免疫組織化学を行い,NF-κBの核内移行を形態学的に観察した.偽手術では海馬CAl錐体細胞の細胞質にNF-κBp50を認めるのに対して,虚血再灌流後30分後ではNF-κBp50は核内に認めた. 4.NF-κBと協力作用を有するHMG-1(Y)の発現が,一過性前脳虚血6-48時間後の海馬CAl錐体細胞に認めた. 5.虚血中低体温(34℃)により遅発性神経細胞死・TUNEL法陽性所見は著名に減弱した. また,HMG-1(Y)の発現も減弱がみられた. 以上の結果より,一過性前脳虚血灌流後早期のNF-κBの核内移行,活性化が確認され,アポトーシス誘導機構におけるNF-κBの関与が強く示唆され,さらに,HMG-1(Y)の関与も示唆された.
|