1999 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌培養細胞に対するBOG活性化リンパ球の作用機序の研究
Project/Area Number |
10770781
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
工藤 誠治 弘前大学, 医学部, 講師 (90234450)
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Keywords | BAK細胞 / BCG / T24細胞 / 5637細胞 / J82細胞 / アポトーシス / サイトカイン |
Research Abstract |
健常人ボランティアからリンパ球を分離し、これをBCG刺激下に培養し、BAK細胞を誘導した。このBAK細胞を膀胱癌細胞株、T24、5637およびJ82細胞と混合培養した。アルマーブルーアッセイによる細胞増殖能の検討で、膀胱癌細胞の増殖能が抑制されることは、昨年報告したが、この上清中のサイトカインを定量したところ、コントロールであるリンパ球と膀胱癌細胞との混合培養に比較して、インターロイキン-6(IL-6)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子(TNF-α)の増加が確認された。またBAK細胞内のmRNAをPCR(Polymerase chain reaction)法により増幅して測定したところ、IFN-γの遺伝子発現が増強されていた。すなわち、BAK細胞からはIFN-γが、膀胱癌細胞からはIL-6とTNF-αが分泌されたものと考えられた。 さらに、膀胱癌細胞のDNAをアガロース・ゲル電気泳動下に観察したところ、BAK細胞との混合培養により、DNAラダーが出現した。ギムザ染色では、膀胱癌細胞の縮小、核の凝集および断片化が確認され、ApopTaqキットによる免疫染色では、アポトーシス細胞の増加が認められた。これらの結果から、混合培養で上記のサイトカインが働き、膀胱癌細胞のアポトーシスが誘導されたものと推測された。 そこで、BCGの菌体成分の何がリンパ球を刺激し、ひいては膀胱癌細胞のアポトーシスを誘導するのかを検討するため、BCGを超音波処理下に破砕し、これを遠心分離することで、上清画分と沈殿画分に分けた。それぞれを、リンパ球の培地に添加したところ、上清画分がリンパ球を刺激することが判明した。このリンパ球は、弱いながらも先の膀胱癌細胞の増殖能を抑制することから、BCG上清画分に有効成分が存在するものと推測された。
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Research Products
(1 results)