1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770798
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 佳秀 徳島大学, 医学部, 助手 (80294677)
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Keywords | 腎細胞癌 / MN / CA9 |
Research Abstract |
cytokeratin subtype20を標的として、RT-PCR法を用いての末梢血液中の尿路上皮癌細胞を検出については、十分な感度のprimerの設定が困難であったため、筆者は対象を腎細胞癌とし、また、MN/CA9遺伝子を標的として末梢血液中における腎細胞癌細胞の検出が可能かについて検討した。 予備実験としてRT-PCRを用いて正常腎、腎細胞癌、腎オンコサイトーマにおけるMN/CA9遺伝子発現の相対的強度について定量化し、さらに、腎細胞癌については臨床病理学的所見と関連づけた。 腎細胞癌では、正常腎(p<0.0001)や、腎オンコサイトーマ(p=0.0016)に比し有意に高いMN/CA9遺伝子発現を示し、中央値はそれぞれ、64.6、3.2、3.4であった。腎細胞癌でのMN/CA9発現率は、85.7%(42/49)と高率であり、正常腎、オンコサイトーマではそれぞれ9%(2/22)、0%(0/5)であった。腎細胞癌49例のうち特にclear cellのみからなる腫瘍37例では、clear cell以外のcell typeを混じている腫瘍12例よりも有意に高いMN/CA9遺伝子発現を示し(p=0.0189)、MN/CA9発現率はそれぞれ91.9%(33/37)、66.6%(8/12)であった。これら37例のclear cellのみからなる腫瘍のうち、low stage(I、II)の腫瘍28例ではhigh stage(III、IV)の腫瘍9例よりも、有意に高いMN/CA9の発現を認めた(p=0.0367)。この37例をMN/CA9発現の強さによりMN/CA9の高/低発現群の2群に分けると、MN/CA9発現の高い腫瘍(19例)では発現の低い腫瘍(18例)比べ有意に患者予後が良く(p=0.0254)、癌死した症例を認めなかった。 腎細胞癌において、特にclear cell subtypeに対して、MN/CA9は分子生物学的診断の標的マーカーとし有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.MURAKAI: "MN/CA9 gene expression as a potential biomarker in renal cell carcinoma"British Journal of Urology. 83. 743-747 (1999)
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[Publications] 村上佳秀: "腎細胞癌におけるMN/CA9の遺伝子発現についての検討"腫瘍マーカー研究会誌. 14. 171-173 (1998)