1998 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の自己増殖調節機構におけるTGF-βとM-CSFの功罪とその治療への応用
Project/Area Number |
10770810
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 敬一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50265899)
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Keywords | 前立腺癌 / TGF-β / M-CFS / 自己増殖調節機構 |
Research Abstract |
and rogen非依存性前立腺癌の自己増殖調節機構を解明するため、前立腺癌細胞株の培養土清中に高濃度に存在するTGF-βとM-CSFに注目した。TGE-βは一般的に細胞増殖に抑制的に働くと考えられているが、前立腺癌で過剰産生されているとの報告が多く細胞増殖への影響を調べた。前立腺癌細胞株PC3、DU145、JCA-1、LNCapを用いMTT assayを行った結果、コントロールと比較して抗TGF-β抗体を1,10,100ng/mlの濃度で加えた群で細胞増殖に有意な変化はなかったがPC3では5.5%、7.3%、7.7%、DU145では4.6%、10.7%、8.9%と軽度増殖に働く傾向にあり、TGE-βは前立腺癌の増殖刺激には関与している可能性は少ないと思われた。またM-CSFについてMTT assayで細胞増殖をみた。10%FCS、1%FCSで培養後FCSフリーとした条件下でM-CSFおよび抗M-CSF抗体を幾つかの濃度で加えたが、PC3、DU145においてわずかに増殖傾向が認められたのみで有意ではなかった。EITC-BrdUおよびPlの二重染色によるフローサイトメトリーによりS期に移行する細胞の割合をみたが、M-CSFおよび抗M-CSF抗体付加による有意な変化は認めなかった。またM-CSFの細胞増殖初期に及ぼす微妙な変化をみるためにコロニー形成率をみた。100%FCSの条件で7-10日間後にコロニーをカウントした。LNCapは10日目でコロニー形成率は5%以下と低く判定不能であった。PC3では0.6%、DU145では8.9%、JCA-1では10,3%とM-CSF付加群にややコロニー形成率が上昇したが有意差はなかった。これまでの実験では、TGF-βは細胞増殖に抑制的に働き、M-CSFは細胞増殖に働くと予想するが、現在までに報告があるIL-6のような強い増殖刺激作用はないようである。
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