1998 Fiscal Year Annual Research Report
精子運動抑制因子のマウス尿路における細菌定着阻止効果について
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10770814
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
柳澤 直子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30301609)
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Keywords | 細菌付着阻止効果 / 精子運動抑制因子 / 尿路感染症 / 精漿 / 腎細胞 / 細菌定着阻止効果 |
Research Abstract |
ヒト精漿より分離精製したSPMlを用いて、マウス尿路細胞への細菌付着阻止実験を行った。当初SPMIは比較的入手の容易なブタ精嚢液より分離精製する計画であったが、ヒト材料の入手が可能となったのでヒト精漿由来SPMIを使用することとした。 SPMIはヒト精漿よりイオン交換クロマトグラフィーおよびHPLCによって分離精製した。細菌株は標準株の黄色ブドウ球菌209P株、大腸菌NIHJ株、および尿路感染症の臨床分離株である腸球菌EF-14株を用いた。クローズドコロニーJcl:MCH(ICR)マウスの腎を摘出し、細切後トリプシン処理により単離したのも10%FCSを含むハムF12培養液にて培養した。培養後2-4日間で細胞がほぼ単層を形成したら、35mmプラスチックシャーレ中に置いたカバーグラス上に細胞を継代培養し、24-48時間後に取り出してPBSで洗浄後実験に用いた。マウス腎細胞を培養したカバーグラスは、最終濃度10、100、1000μg/mのSPMI溶液(in PBS)を満たした35mmプラスチックシャーレ内に置き、37℃で1時間、40回転/minで振盪し、さらに菌数を最終濃度10^7CFU/mlとなるように液量を再調整し同様に1時間振盪した。非付着菌株をPBSで5回洗浄した後、カバーグラスを10%ホルマリン液にて固定、ギムザ液で染色後、細胞100個について検鏡し付着菌数を求めた。このとき生菌5個以上の付着を認めた細胞を陽性とした。 SPMI添加しない対照群では細菌が付着した腎細胞が多数観察されたのに対し、SPMIを添加した実験群では、生菌付着陽性細胞数は、添加したSPMiの濃度が高いほど少なく、1000μg/mlでは生細胞には殆ど細菌が付着しなかった。以上により、ヒトSPMIがマウス尿路細胞への細菌付着を濃度依存性に阻害することが認められた。現在、本実験における阻害効果の定量化を試みている。
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