1999 Fiscal Year Annual Research Report
尿路性器癌における、TFR、EGFR、Cyclin D1の検討
Project/Area Number |
10770815
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
上條 渉 愛知医科大学, 医学部, 助手 (00257677)
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Keywords | 膀胱癌 / 膀胱全摘除術 / p53蛋白 / 免疫組織化学 / ヒト / パラフィン切片 |
Research Abstract |
【目的】膀胱癌の病理学的組織診断に客観性を増す補助診断法の1つとして、遺伝子発現異常や、核内増殖関連蛋白の免疫組織学的に検索が行われている。なかでもアポトーシス関連p53蛋白は細胞核内に存在し、種々の癌において変異、欠乏を示すことが報告されている。今回膀胱癌組織における、p53蛋白発現を免疫組織学的に検索し、臨床病理学的項目及び、予後との関連性について検討した。【対象及び方法】1988年から1998年までの11年間で当科において膀胱癌の診断のもと、膀胱全摘除術を施行した23例を対象とした。組織型は全例移行上皮癌で、組織学的深違度はpTaが2例、pTbが3例、pT2が4例、pT3aが7例、pT3bが5例、pT4が2例であった。10%ホルマリン固定パラフィン切片にp53(FL-393)K lmmunocruz Staining System(Santa Cruz,USA)を用い、腫瘍の5%以上が染色された症例を陽性とした。【結果】表在癌(pTa+pTb)では5例中3例(60%)がp53陽性(pTa1/2例、pTb2/3例)を示したのに対し、浸潤癌(pT2+pT3a+pT3b+pT4)では18例中6例(33%)がp53陽性(pT2 2/4例、pT3a 4/7例、pT3b 0/5例、pT4 0/2例)を示した。深違度の低い腫瘍の方が、陽性率の高い傾向を示した。また今回検索した23例中12例が死亡しているが、全例p53蛋白の発現を認めなかった。【考察】近年p53蛋白は悪性腫瘍進展の指標として注目されているが、今回の我々の検討では、p53蛋白陰性例は陽性に比べ、生存率が低く、浸潤度とp53蛋白発現との間に相関を見いだすことができなかった。今後、症例数を増やすとともに、p53蛋白発現の局在、mRNAレベルでの検討を加えてさらに解析を進める予定である。
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