1999 Fiscal Year Annual Research Report
新たなHPV DNA検出・タイピング法の確立とその臨床応用に関する検討
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10770854
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中川 博之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90276329)
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Keywords | 子宮頚癌 / HPV(human papilloma virus)、PCR(polymerase chain reaction) / SSCP(single strand conformation polymorphism) |
Research Abstract |
1)L1コンセンサスプライマーの内側に新たなコンセンサスプライマーを設定し、nested PCRを行った。検出感度をsingle L1 PCRと比較したところ、約10倍の感度が得られた。SSCP法により16、18、31、35、51、52、56の各型についてタイピング可能であることが確認された。 2)nested L1 PCR-SSCP法で子宮頚部異形成95例の細胞診検体につきHPVの検出・タイピングを行い、L1 PCR-RFLP法による結果と比較した。結果の異なったものについて塩基配列を解析した。HPV16型の判定において、L1 PCR-RFLP法では、4例の偽陽性と2例の偽陰性が見られた。それらは全て重複感染例であった。重複感染はL1 PCR-RFLP法では約10%に、nested L1 PCR-SSCP法では約40%に見られた。 3)子宮頚癌組織検体37例についてnested L1 PCR-SSCP法にてHPVの検出・タイピングを行ったが、重複感染は全く見られなかった。HPVの重複感染は、子宮頚部異形成において病的意義を持つ可能性が示唆されたが、子宮頚部発癌に直接の関係はないと思われた。 4)レーザー円錐切除術前にHPV陽性で、術後6ヶ月以上経過観察が可能であった45例中5例で子宮頚部細胞診はクラスIIIaであり,うち2例でHPV陽性(35型,51型)が持続した。円切後に追加手術を行った8例のうち、摘出子宮に浸潤癌がみられた1例では18型が、CISがみられた1例では16型が円切前後で認められた。摘出標本で残存腫瘍がみられなかった4例と極少量の残存腫瘍が肉芽組織で厚く被われていた2例では円切後にはHPVは検出されなかった。円切術後の経過観察において、nested L1 PCR-SSCP法でHPV陽性の場合は厳重な管理が必要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakagawa H,Nozawa S et.al.: "The influence of laser conization on subsequent pregnancy"Int.J.Gynecol.Cancer. 7. 91 (1997)
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[Publications] 中川博之、野澤志朗 他: "新たな高感度のHPV-DNA検出・タイピング法(nested PCR-SSCP法)の確立とそのレーザー円錐切除術後経過観察への応用"腫瘍マーカー研究会誌. 14. 65-66 (1999)