1999 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌の新しい治療としての分化誘導剤の分子生物学的検討
Project/Area Number |
10770863
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
妹尾 純子 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60301660)
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Keywords | butyrate / 分化 / p21 / 婦人科癌(細胞) / 細胞周期 |
Research Abstract |
p53に変位を持つ子宮体癌株(Ishikawa株)を用いて、butyrateの分化誘導の作用機序を分子生物学的に検討した。 1.Ishikawa株に対し、Sodium butyrate(SB)1-10mMを投与すると、dose-dependentに増殖抑制効果を認めた。 2.形態学的には、ドーム構造形成が促進されたことから、SBによる分化の誘導が判明した。 3.in vivoのモデルと考えられるsoft agarにおけるコロニー形成も、SBによりdose-dependentに抑制され、特に10mM添加でコロニー形成能は25%にまで抑制された。 4.SBを投与された細胞から抽出したDNAでは、ladderingは認めず、apoptosis誘導効果は認めなかった。 5.SBを投与された細胞では、p21^<(WAF1/CIP1)>タンパクの発現が増加し、3mMの投与で発現量は2倍に達した。 6.p21プロモーター活性もSBにdose-dependentに上昇し、SBがp21の発現を転写レベルで誘導したと考えられた。 7.p21タンパク発現増加と反比例して、変異型p53タンパクの発現は低下した。 8.以上のことより、SBは、一般に抗癌剤が効きにくいと考えられているp53変異細胞に対して、腫瘍増殖抑制効果と分化誘導効果を示し、この効果にp21タンパク発現誘導が関与していることが強く示唆された。
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