1999 Fiscal Year Annual Research Report
鼻腔原発リンパ腫における細胞間接着分子の発現の検討
Project/Area Number |
10770904
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬越 智浩 北里大学, 医学部, 講師 (30229348)
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Keywords | 鼻腔原発リンパ腫 / カドヘリン / 細胞間接着分子 |
Research Abstract |
カドヘリンは細胞間接着分子である。E(epithelial)-カドヘリンは上皮系の細胞上に発現している。上皮細胞以外ではランゲルハンス細胞とγδ型のT細胞受容体を有するTリンパ球の亜群に発現している。これらは、表皮内において扁平上皮細胞とE-カドヘリンを介して接着し、局所の免疫応答に関与していることが報告されている。一方、鼻腔原発リンパ腫においては、E-カドヘリンとの関係を検討した報告はない。本研究は、鼻腔原発リンパ腫においてE-カドヘリンの発現の有無について検討したものである。北里大学病院耳鼻咽喉科で治療した鼻腔原発リンパ腫症例について治療前に生検した組織をホルマリン固定・パラフィン包埋し切片を作製して免疫組織化学的検討を行った。一次抗体にはT細胞に対してCD3(1:1000、DAKO)、CD4(1:80、DAKO)、CD8(1:100、DAKO)、CD45RO(1:50、DAKO)、B細胞に対してCD20(1:50、DAKO)、E-カドヘリンに対してHECD-1(TAKARA)を用いた。一次抗体反応の前に0.01Mクエン酸buffer0.1%Tween20を用いてオートクレーブで10分間抗原の賦活化を行った。染色は高感度間接法であるEnvision systemを使用した。本研究では、オートクレイブと界面活性剤を用いることで、ホルマリン固定・パラフィン包埋切片でも安定してE-カドヘリンを検出することができた。結果が明確に出た症例数が8例と少なかったが、その2例にその発現を認めることができた。全症例でT細胞に対するいずれかの抗体で陽性であり、B細胞に対する抗体はいずれも陰性であった。我々が用いた方法によって、T細胞リンパ腫においても E-カドヘリンが発現している症例があることを証明できた。これら症例におけるE-カドヘリンの機能に関しては、さらなる検討が必要である。
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