1998 Fiscal Year Annual Research Report
めまい,突発性難聴,顔面神経麻痺の血小板機能の係わり
Project/Area Number |
10770912
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
朝倉 美弥 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70277961)
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Keywords | めまい / 血小板凝集能 / 高脂血症 / 塩酸ピクロピジン / ベザフィブラート |
Research Abstract |
めまい疾患において血清脂質の一部が正常よりも高値を示す症例が多く認められ、さらにめまい症、メニエール病、突発性難聴、顔面神経麻痺の症例において血小板凝集能が有意に亢進している結果を得た(第95回日本耳鼻咽喉科学会)。血小板凝集能の亢進を示した症例に抗血小板剤(血小板抑制剤)を投与したところ血小板凝集能の低下と臨床症状が軽快とに相関があることを認めた。高脂血症を認めた症例については高脂血症の治療も同時に行い同様の結果を得た(第96回日本耳鼻咽喉科学会、19th.Barany Society Meeting,1996)。今回は脂質に関して高脂血症診療ガイドライン(日本動脈硬化学会)に従い症例数を増やして治療効果を再検討した。1997年1月から1998年4月までに受診した耳性めまい症90例(男30例、女60例、平均年齢58.3歳)を対象とした。塩酸チクロピジン、ベザフィブラートを投与し0.75uMのADP添加血小板凝集能と血清脂質を測定した。各年齢で血小板最大凝集率は亢進し、高脂血症の視標である総コレステロールとLDLコレステロールが高値を示した。治療により血小板最大凝集率と脂質値は低下した。その症例の77.7%に症状の改善を認めた。血液の流体的特性の一つの視標となる血小板凝集能がめまい発症の一つの要因である可能性が示唆された。高コレステロール血症が微小循環を障害することは知られており、高脂血症の存在は脳内の微小循環障害を引き起こしめまい発症に関与するものと考えた(第99回日本耳鼻咽喉科学会)。
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