1999 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチンの蝸牛複合電位順応現象および蝸牛血流量におよぼす影響
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10770913
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
赤尾 一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60247393)
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Keywords | シスプラチン / CAP順応現象 / 蝸牛血流量 / ディフェロキサミン |
Research Abstract |
本研究の目的は、強い抗癌剤であるシスプラチン(CDDP)の蝸牛におよぽす影響を、CDDPを投与したモルモットの蝸牛機能(CAP闘値、順応現象)および蝸牛血流量(CBF)、全身血圧(BP)、脈拍、体温により検討することであった。さらにdeferoxamine mesylate(DFO)の薬剤性蝸牛障害に対する防御機能の有効性を検討し、実際の臨床では臨床的にCDDPを投与している患者さんのCAP順応現象を検討することであった。 まず、正常動物のCAP順応現象のパターンにっいて検討し、低体温のCAP順応現象に及ぼす影響について報告した。実際の臨床では、耳鳴検査装置を用い通常の聴力検査の器械では検討できない高周波数領域の聴力検査の実際の臨床における有用性についても報告した。その結果、CDDP投与による聴力障害を通常の聴力検査の器械よりも早期にdetectできる症例を認めた。 実際の実験では、血圧のモニターのための動脈確保、輸液、薬剤投与めための静脈確保にやや困難を認め、また、蝸牛血流量のレーザードップラーのプローブと蝸電図の銀ボール電極を同側のbullaから挿入、固定に困難を有したが記録可能となり、CDDP投与時には、CAPの閾値上昇を認め、CAP順応現象も著明に小さくなったことを確認した。この変化は、閾値変化を考慮に入れても有意なものであった。また、蝸牛血流量(CBF)は全身血圧(BP)とともに薬剤投与後は増加するが、徐々に減少し、CBF/BPについて検討すると薬剤投与後に減少していることがわかった。このことから電気生理学的に認めた蝸牛機能の変化は蝸牛血流量の変化に伴っている、あるいは基づいていることが推測された。 DFOの薬剤性蝸牛障害に対する防御機能の有効性については現在検討中であるが、はっきりとした薬剤障害を防ぐような傾向は認めなかった。
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Research Products
(2 results)