1998 Fiscal Year Annual Research Report
眼窩悪性リンパ腫とEpstein-Barrウイルスとの関連についての研究
Project/Area Number |
10770935
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
石川 明邦 愛媛大学, 医学部・付属病院, 助手 (20232259)
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Keywords | Epstein-Barrウイルス / 悪性リンパ腫 / 眼窩 / EBNA-1 / LMP-1 / PCR / Nested-PCR / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
Epstein-Barr ウイルス(以下EBウイルスと略す)はヒトの癌ウイルスとして報告された初めてのウイルスであるが、広くヒトに潜伏感染して免疫能が低下するとEBウイルスによってトランスフォームされたリンパ球が増殖を開始するといわれている。事実、バーキットリンパ腫、免疫不全患者の悪性リンパ腫をはじめとして上咽頭癌や胃癌など多様なヒト癌細胞中にEBウイルスのDNAゲノムが証明されている。今回は眼窩における悪性リンパ腫の発症にEBウイルスが関与しているかどうかについて検討した。 手術で採取したリンパ性腫瘍は病理組織診断、リンパ球のサブセット分析およびJH遺伝子の再構成の有無によりB細胞性悪性リンパ腫と偽リンパ腫に分類し、EBウイルス感染の証明を試みた。 1. EBウイルスDNAゲノムの検出:ウイルスゲノムの検出は潜伏感染で発現するEBNA-1領域のプライマーを用いてPCR法およびそれに引き続くNested PCR法により行った。EBウイルスゲノムは悪性リンパ腫5例中3例、偽リンパ腫1例に検出された。Nested PCRでは悪性リンパ腫5例全例、偽リンパ腫5例中3例にウイルスゲノムが証明された。 2. EBウイルス感染細胞の膜タンパク質の検出:EBウイルス感染によりトランスフォームされたB細胞に特異的に発現する膜タンパク質LMP-1をパラフィン薄切切片において免疫組織化学的に証明した。LMP-1の発現は悪性リンパ腫では8例中6例に陽性であったが、偽リンパ腫では11例全例で陰性だった。 眼窩の悪性リンパ腫からEBウイルスゲノムが高率に見出された。EBウイルスが眼部においても悪性リンパ腫の発生に関与している可能性が示唆された。
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