1998 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脈絡膜新生血管における細胞成長因子に及ぼすIFN-βの分子生物学的研究
Project/Area Number |
10770963
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
菅澤 啓二 関西医科大学, 医学部, 助手 (10268352)
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Keywords | 血管内皮細胞成長因子 / 脈絡膜新生血管 / in situ hybridization / 網膜色素上皮細胞 |
Research Abstract |
目的:眼内の新生血管の発生には様々な細胞成長因子の関与が証明されているが、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)は血管内皮細胞の増殖を特異的に促進することが知られており、血管新生に強く関与していると思われる。今回ラット実験的脈絡膜新生血管発症モデルについて、VEGF及びその受容体であるkinase insert domain-containing recepton(KDR)のmRNAの発現を、in situハイブリダイゼーションによって経時的に検討した。方法:成熟有色ラットの眼底後極部にレーザーにて強度光凝固を行い、実験的脈絡膜新生血管を発生させた。光凝固後3,7,14,28日に眼球摘出を行い固定の後、凍結薄切切片を作成した。また、VEGF及びKDRのcDNAfragmentよりDIG標識のVEGF・KDRのantisense,sense RNAプローブを作成し、それらを用いてin situハイブリダイゼーションにて眼内のVEGFとKDRの発現を検討した。結果:正常網脈絡膜ではVEGF-KDRmRNAの発現は、神経節細胞層、内顆粒層に強く、また網膜色素上皮に弱くみられた。脈絡膜新生血管形成過程においてはその発生及び進展期には、光凝固部の網膜色素上皮・線維芽細胞・新生血管内皮細胞にVEGF・KDRmRNAが強く発現していた。その後新生血管の退縮期に向かうに従いVEGF・KDRmRNAの発現は弱くなった。結論:正常網脈絡膜組織では、その発現部位からVEGFは、網脈絡膜膜血管の恒常性維持に必要であると思われた。脈絡膜新生血管の形成過程においては、網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、脈絡膜新生血管内皮細胞にVEGFとその受容体の発現がみられたことから、VEGFが脈絡膜新生血管発生に強く関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)