1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770964
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松永 裕史 関西医科大学, 医学部, 講師 (80278639)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 細胞老化 / β-ガラクトシダーゼ / テロメア |
Research Abstract |
正常細胞は少なくとも培養系においては無制限に増殖することはできず、限られた分裂回数ののち、増殖を停止する。この過程は、細胞老化とよばれ、種々の組織や動物の正常細胞は有限の分裂寿命をもつことが明らかとなった。また、細胞分裂の寿命は遺伝的制御を受けていることが明らかになっている。さらに、細胞老化とともに多くの遺伝子発現の上昇あるいは低下が報告され、これらの現象はヒトの老化現象や、加齢性疾患の発生と進行にかかわっている可能性が指摘されている。現在のところ細胞老化に関する研究は、主に線維芽細胞で行われており網膜色素上皮細胞においては、ほとんど行われていない。老化細胞の特徴は、細胞分裂の停止、細胞形態の変化、テロメアの短縮、リポフスチンの胞体内蓄積などがあげられる。Campisiらは線維芽細胞とケラチノサイトで、細胞老化とともに、β-ガラクトシダーゼ遺伝子の発現が上昇することを報告し、培養細胞だけでなく、体内細胞でも加齢とともにこの遺伝子の発現細胞の頻度が上昇することを示した。この事は、in vivoにおいても、老化細胞が加齢とともに蓄積していることを裏付けている。我々は、細胞老化に陥った網膜色素上皮細胞が、隣接する感覚網膜、脈絡膜にどのような影響をおよぼしているかを明らかにするため、まず、培養系において、老化網膜色素上皮細胞が上に述べた特徴を示すことを実証するために実験を行った。継代培養を繰り返し、分裂能を失った網膜色素上皮細胞は、若い細胞に比較して大きく拡大した形態を示し、胞体はβ-ガラクトシダーゼによって青く染色され、継代培養を繰り返すことによってテロメアが短縮した。以上の結果から、継代培養を繰り返し分裂能が失われた網膜色素上皮細胞は、細胞老化の基準をみたすことを確認した。
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Research Products
(1 results)